広島のあすにゃん

広島のアスリアが、日々の備忘録を書きます。

ショートショートにハマってます(100まで)

 おじいちゃんピアノ

 そうさのう、わしが若い頃はピアノというものは
大変高価で、みんなの憧れの楽器じゃった。
わしを演奏していた友子ちゃんも、かなりの富豪でな。
ピアノを毎日弾きながら、童謡なんかを歌っておったものじゃ。

ところがある日のこと。
外でいきなり、ドーンという、すさまじい音がして、
窓ガラスが全部くだけちり、演奏をしていた友子ちゃんは、
ガラスまみれで死んでしもうた。

わしもまた、ガラスの破片を食らって、音もヘンになってしもうてなあ。

その後、調律師の兄さんがやってきて、わしの音を調律し、わしに名前をつけてくれたんじゃ。

わしは、ノーベル平和賞の舞台にも出されたほど、有名になった。
わしの名は、「被爆ピアノ」。
覚えておいてほしい。

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 インドのネコなんて知らないよ

インドのネコなんて知らないよ。
どんなところにいたってネコは可愛いに決まってる。
彼氏のサイファがインドに帰ったからって、さびしいことなんかないもん。

サイファがインドで何を食べてるか、ぜんぜん、気にならないもん。
インドのガンジス川で沐浴してるかどうかなんて、あたしには関係ないんだもん。

ネコって可愛いよね、名前をつけよう。
ガンジーってどうだろう、意志堅固そうだから。
サイファも頑固なところがあった。どのみちインドに帰るんだと言って、紅茶1つ淹れたことがない。

インドのネコなんて気にしない。あたしの知ってるサイファは ちょっと不器用で、でも優しくて いつも笑顔を絶やさない人だった。
その彼がいなくなっても やっぱり、あたしの生活は何も変わらない。
サイファがネコを飼おうとどうしようと、
あたしには関係ないんだもん。

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  春塵の衝撃波

  黒い衝撃波が襲い掛かる。
しかし、その瞬間、
――ガキィンッ! という甲高い音が鳴り響き、衝撃波は跡形もなく霧散した。
それは、アヴィスの振るった大剣から発せられた音だった。
そして、衝撃波をかき消したのは、彼の固有能力である防御の力によるものだ。
彼はその能力を使い、シェリアの魔法攻撃を防いだのだ。
多少なりともダメージを負ったらしく、アヴィスは苦悶の表情を浮かべていた。
それでも彼はすぐに態勢を立て直すと、今度はこちらに向かって駆け出してきた。
シェリアは再び無数の闇の矢を放つも、先程と同じように簡単に掻き消されてしまう。
アヴィスは春塵のように、距離を縮める。
あまりの速さに、シェリアは息を飲む。
「くらええぇぇっ!」
「穿てえぇぇっ!」
そんな叫び声と共に互いの魔法が衝突し、激しい爆発が巻き起こる。
シェリア、現在8点!」
審査員が点数を叫ぶ。
試合はいま、たけなわだ。

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 コップ注意報

 犯罪者にとってコップ(警官)ほど、やっかいなものはない。
こそ泥のケイタは、知りあいのマッドサイエンティストに、コップが近づいたら警報を鳴らしてくれるAIを開発してもらった。
題して、「コップ注意報」。

「あー、今日も平和だなぁ」
とケイタが言った瞬間、ピーンポーン! ピーンポーン! ピーンポーン! ピーンポーン! ピーンポーン! ピーンポーン! ピーンポーン! ピーンポーン! 
警報が鳴り渡った。
がちゃり。玄関がひらく。
その向こうに、めっちゃ可愛い女の子が立っていた。

「あなたをタイホしちゃうから☆」
彼女はそう言って、キスの雨を降らした。

彼女は警官だったが、ケイタに一目惚れしてしまったのである。
それ以来ケイタは、彼女の尻に敷かれ、
すっかり真人間になってしまった。

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 健康ダウンロード

「健康ダウンロードしたの?」
「う、うん。なんか色々あるみたいで……」
「へー、どんなのがあるのかな? ちょっと見せてよ」
「えっ!?」
有美さんが俺に身を寄せてきた。彼女の髪からシャンプーの香りがふわりと漂ってきて、俺は慌ててスマホを閉じようとする。だがそれより先に英人がスマホを奪い取ってしまった。
―――やばい。
俺は直感的にそう思った。
健康ダウンロードと称して、実はエロゲを入れていたからだ。 恐る恐る英人を見る。
しかしそこには軽蔑の色はなく、むしろ感心するような表情があった。
「へー、これが健康のもとか! 大人になるって意外と簡単だな!」
「サナギから脱皮するのが必要なのだ!」
俺が言うと、有美さんは、キラキラ目を輝かせた。
「そして、お湯で煮て、絹糸を取るのよね!」
「なんのこっちゃ?!」

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タイムスリップ太郎

 源氏に追われて洞穴の向こうに飛び込んだ太郎は、そこが兜率天ではないかと思った。
キラキラ輝く背の高い立方体や、ビュンビュン道を走る恐ろしい動物たち。
道を行く人々は、裸同然の恰好だ。
そこへ、追いつめられた太郎を救いに、 一頭の白馬に乗った女武者が現れた。
それは同じ平家だった。二人はたちまち恋に落ち、 太郎も、その美しい女武者に仕えるようになった。
ただひとつ、計算違いだったのは、
兜率天の天人たちがみな、ふたりをとらえ、
「ビョウイン」とかいう白い建物に閉じ込めてしまったことだった。

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 誰も知らない履歴書

 0歳誕生。両親、兄、妹の五人家族。
5歳までに両親は自分のもとを離れ、
兄と妹は親戚の家に育つ。
13歳までに兄、妹も別の場所へ。
しかししょっちゅう戻ってくる。

14歳。遙人は学園都市に入学。
そこで能力が開花するかに見えたが
いっこうにその兆しが見えない。
16歳で入学から二年経過。
ある日、遙人は学園を退学し その後三年間行方不明になる。
21歳になり、学園の同窓会で再会。
その後、学園都市にて再出発をはかる。
23歳になり、レベル5に至る。
現在25歳の春。

というキャラクター履歴書を書いてみたが
最近の流行に合わないということで、
ボツになってしまったのだった。

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 スベりATM

ギャグ銀行のスベりATMに、ボツになった
ギャグを投入するのが
売れない漫才師たちの
隠れた努力であった。

たとえば、このATMには、
こんなジョークが入っている。

「お姉さんの好きな羊羹を買ってきたよ。
せっかくだから、ようかんで食べてね」
一生懸命かんがえても、
ウケなかったらATMに投入である。

「お掃除ロボットを買ったのに、なんでそんなに熱心に掃除しているの?」
「だってロボットがモノにぶつかったり、糸くずが絡まったりしたら大変でしょ?」

ボツになったネタが、こんなふうになって戻ってくることもある。
ギャグ銀行は、今日も盛況だ。

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 全力で推したいガム

 「このガムは、1年間味が長持ちするガムです」
「でもそんなに長い間噛んでいたら、アゴが疲れちゃいますね」
「そうなんです。だから噛む暇も無く売ってるんです。このガムいかがですか?」
……という具合だ。しかしそれはそれで、商売として成り立っているのだろうか? それとも、ただ単に、そのお店の売り方が上手いだけなのだろうか? 
私は今、ガムを噛んでいる。昨日も一昨日も、ガムを噛んだ。そして今も噛んでいる。


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 君に贈る失恋

 ぼくのこと、忘れないで。
このわすれな草を贈るから。
わすれな草のやさしい花の言葉。
きみに贈るこの真心。
だれに心を奪われても
ぼくのこと、わすれないで。

空の影を映すような花の色
可憐な花のような君の笑顔……。

この詩はぼくの詩
きみに詩う詩、それは真実。
いつまでもぼくはきみを忘れない
これはぼくが君に贈る失恋だ。

※最初の投稿から1ヶ月以上経ちました。
 これで100個書いたことになりますので
 しばらくお休みさせていただきます。

ショートショートにハマってます(090まで)

 夢のタコ

 夢のタコ焼き屋さんは、今日も盛況のようだった。
「さてと……それじゃあ、そろそろ行こうか」
「うんっ!」
僕は右手を、ミーナちゃんが左手をギュッと握りしめながら、屋台へと向かう。
――その瞬間だった。
突然、僕たちの背後から声がかかったのだ。
それも、あまり聞き覚えのない男性の声である。
振り返ってみると……そこには一人の男性が立っていた。
年齢は40代前半といったところだろうか? 白髪交じりの短髪をした細身の男性は、ニコニコとした笑みを浮かべている。
…………誰だこの人? 全く見覚えがないんだけど……。
そんな僕の疑問を感じ取ったのか、男性のほうから名乗ってくれた。
しかも彼は、なんとも意外な人物の名前を口にしたのである。
「わしはタコ八じゃ。タコの化身なんじゃ」
正気だろうか……? この出会いがきっかけになって、僕とミーナは大冒険をすることになるのである。

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  株式会社大学校

 株式会社大学校から、その卒業生のひとりが、会社に入って初めてのゴールデンウイークを迎えた日。
彼は、アパートで、その一週間ほどまえに起きた事件について考えていた。
それは、会社の敷地内の池で、男子学生が溺死した事件だった。警察は自殺と判断して捜査を終わったが、彼にはどうしてもそうは思えなかった。
彼は、池に浮いていた学生の服――水草のあいだに挟まっていた布を思い出した。
しかし、彼はその水草の名前を知らない。ただ、それがよく育っていることだけは知っていた。そして、それがあることで池の水が濁り、藻が繁殖して、鯉や金魚にとって、よい環境になっていることも知っていた。
だが、彼の目には、その水草が、まるで自分の意志を持っているかのように見えたのだ。
のちに彼は知る。株式会社大学校が、遺伝子組み換えで食人植物の研究をしていたことを。

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 ごはんの好きな所

 
甘くてモチモチしていて、じんわりと口の中でひろがっていく懐かしさがあり、
飽きない味が素晴らしい。
玄米だったらいくらでも、保存できる。
天皇が植え付けるというところが、
身近に偉い人を感じられていいと思う。
特にごはんの好きな所は、そのごはんを一緒に食べてくれる人が居るところだ。
私はそう思う。
私は今、1人で部屋にいる。
私が入院している病院には色々な人が来るけど、私と年齢が近い人は居ないから寂しいよ……
私の友達は、お父さんとお兄さんだけかな? でもお父さんやお兄さんとはいつも一緒だからいいよね! それに、この前お父さんとお兄さんと一緒に行った公園で会った男の子ともまた会いたいな?

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 違法の消しゴム

 消しゴムみたいに、世界から犯罪が消える……はずだった。
「……はぁ」
自然とため息が漏れる。
もう、やめてくれよ……。
俺はただ平穏な日常を過ごしたいだけなんだ。
なのに、どうして俺の周りにはこんなにも面倒事が集まってくるんだ? もしかして俺って、呪われてたりしないか……?…………そんなわけないか。
犯罪者につけねらわれるなんて、あり得ない。……うん、いつも通りの日々だ。
よし! さっさと支度して学校に行くとするかな。

おれが学校に行くと、いつも浦賀をいじめていた大島が
きれいさっぱり消えていた。
おれは、浦賀の目に、底知れぬ何かを見た。

 

浦賀のやつ……おれの消しゴムを取ってったんだな……?
浦賀は、ふっふっふ、と笑っている……

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 ボーナス免許のために

 ボーナス免許試験を受ければ、
コミュニケーション能力がUPし、
生き方が上手になるという。
なぜボーナス免許と呼ばれているかというと、
自分の生活にボーナスのように
長所が付加されるからだ。

エヌ氏は、ボーナス免許のために
勉強を始めた。
コミュニケーション能力を高めるためには
演劇がいちばん、ということで、
発声練習から始める。

「あめんぼ甘いなあいうえお」
滑舌が良くなっていく。
生き方上手になるために、
会社の同僚とともに
お寺に座禅を組みに行く。

「良い先輩を手本にしなさい」
お坊さんに言われた。

そこでエヌ氏は、マザーテレサのもとに行き
その奉仕活動に参加しようとした。

しかし彼は知らなかった。
マザーテレサは、既に死んでいたのである……

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 曲がったクリスマス

 「クリスマスは、イエスの誕生日に彼の厩をおとずれた
三人の賢者がプレゼントをしたことからはじまったが、
プレゼントをする、といって
爆弾を送りつけるテロリストもいるからな。
気をつけよう」
そういって、 ぼくたちは別れた。
その次の日の 夕方、 ぼくが、学校から帰ってくると、おねえさんが、 おおきな箱をもっている。
それは、 木でできた、大きな犬小屋だった。
テロという名の犬の、新しい家ができたのだ。
「メリークリスマス! じゃあ、さっそく引っ越しよっか?」
「うん」
ぼくとおねえさんは手をつないで、 まずは、庭へ出ようと、サッシをあけたときのことだった。
そこには、だれかがいた。
背の高いスーツ姿のサラリーマンのような人だった。
「あっ! あなたは!!」
おねえさんが叫んだ。
男は、パピヨンをだいていた。
そして、「テロ攻撃!」と言って、犬を投げつけてきた……

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 ハナを宣伝してみる

   ハナは美人になれる薬です。
 ハナの主成分は、ビタミンCとコラーゲン
 それに付随成分として
 コウモリの羽根とカラスのまつげ
 ノミの涙が入っています。

 ハナは、一般の人には売られていません。
 いまだけ、ここだけ、あなただけの商品です。
 ハナという名前にふさわしく
 花のようにきれいになること、
 間違いありません。

 ハナは、かおりも素晴らしい商品です。
 つけていれば、そっぽを向いていただんなさんも
 思わず振り返ること、まちがいなし。
 一時間ほどお待ちします。
 家に帰って、試供品をお試しください。

 え、もう試してみたんですか。
 ほらね、鏡をご覧ください。
 あんなにひどかったカラスの足跡はすっかり消えています。
 あなたを見て、うっとりしない男はいませんよ。
 

 え、お代ですか。
 お代はあなたの魂だけ。
 契約書にサインをどうぞ!

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  忍者探偵サスケ

 忍者は名探偵にはなれない。
なぜなら、忍者は情報収集をするための職種で、
ナゾを解くための職業ではないからだ。
しかし忍者のサスケは、探偵の仕事を頼まれた。
依頼主は、某藩主の奥方。浮気調査である。
忍者としても、探偵としても、
サイテーの仕事であった。

だが、忍者は仕事に私情をはさんではいけないのだ!
「……あ~あ」
「まぁまぁ、元気出してよ」
「だってさぁ……」
「お殿様も奥方さまも、きっと気づいてないから!」
「そうかな?」
「そうよ、絶対大丈夫だから!!」
「…………うん」
「それにほら、私たちが知ってるってこと、 まだバレてないしねっ☆」
「うぅ……」
「とにかく、今は任務に集中しよう? ねっ!」
忍者は、奥方に陥落してしまっていたのであった。

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 呪いの宝くじ

 この手の話は枚挙に暇がないが、これはその中でもとびきりだ。
まずは話を聞いてほしい。
――――――
ある日のこと。
僕が帰宅すると、母から手紙を渡された。差出人は知らない名前だったが、切手も貼ってあるし、どうやら正式な郵便らしい。
しかし奇妙なことに消印がなかった。自分で投函したのだろうか。
ともあれ、中身を見てみると、そこに例の、不幸な手紙と共に宝くじが入っていたのである。
これを早く換金しないと、不幸がやってくるそうだ。
まさかと思ったが、宝くじをある人と交換したら、500円しかもらえなかった。
僕はその500円を持って、店へ行った。すると店の人が言った。
「お客さま、困ります。ちゃんとお金を払ってください。ここにあるのは犬の絵の描かれたコインだけですよ?」
「そうですよ、ここの料理はのろいし、ワンコインで食べられるって聞いたから」

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 名古屋での女子会

 2月11日に名古屋で女子会をした。
10人あつまったが、2次会には
7名程度になったし、
そのまま立ち話になっていた。
しかし、30年ぶりということで、
みんなは話に盛り上がった。

かつての母校がなくなり、
そこにあった百貨店は
別の店になったとか、

ジブリは、『千と千尋の神隠し』ばかり
何度も見てしまって、ストーリーを暗記したとか

そんな話に花を咲かせる。
懐かしい話、初めて聞く話、
一次会では聞けなかったこと。
いろんな話を聞いて
わたしは、心が解きほぐされていくのを感じた。

地元広島から名古屋まで新幹線で3時間半だ。
行きは深夜バスだったので疲れたが
みんなはわたしをねぎらってくれた。

優しい言葉に涙が出た。
二次会に行かなかったら、そんな言葉は
聴けなかったに違いない。

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  神さまラジオ

 そのラジオからは、神さまの言葉が聴けるという。
ある新興宗教がはじめたこのサービスに、ハマった。

ラジオは言う。
「神さまは優しくていざという時に頼れます。
唯一にして絶対の神がつくられた世界のことです。世界は神の栄光が充満していて、
人間は神の子であり、神と自然と人間とは和しているのです。
いまから波動をおくりますから、受け取ってください。
はあああああああっ!」

ラジオがビリビリ震え……爆発して消えた。
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 私の意外な使い方

わたしを使いたいんですって?
わたしの得意分野は、料理ですよ?
ブルーチーズのスフレとか、
エスニックスープとか作るんですよ?
あなたは落語家じゃありませんか。
お口に合うとは思えません。

え?
ネタにしたいから、食べさせてくれって?
じゃあ、作っておいたわたしの料理を冷蔵庫に入れておくね。

冷蔵庫のカップケーキをいつ食べたの? 3つあったのに1つしかないわよ?
3つあったのか、暗くてよく見えず、食べ損ねちゃったですって?
ケーキのいい話ですこと!

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  黒い薬

 黒い薬を、 とつぜん取り出して 飲みほした。
するとどうだろう! からだじゅうが 熱くなって
もういてもたっても いられなくなってしまったのだ。
そこで その男は ベッドのそばに 
ある鏡台で 自分の顔を じっと見てみた。

そして おどろいたのだ。
それは なんとも言えないほど美しい男だった。
そこで この美しい男が 大声をあげて笑いながら 
よろこんで 町中をかけまわったのだ。

しかし夜の静寂が訪れると、
男のからだの中でなにかが騒ぎ出した。
それを黙らせる唯一の方法は、この町で
まるでハンターのように生と死の戦いに
加わることだった。

町の人々は、男を恐れた。
そのうち、十字架を持って男に迫りだした。
「悪魔め! おれたちの元から去れ!」
男の身体に杭が打ち込まれた。

その時から、バンパイアが産まれたのだ。

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 道に落ちていたおじいちゃんの杖

 道に落ちていたおじいちゃんの杖を拾って、それを剣のように構えた。
そしたら、なんだか勇気が湧いてくるような感じがして――――――――
私は勇気を振り絞って、ゴブリンに向かって行ったんだ! その時の私には、もう怖いものなんてなかった。
だって私の後ろにおじいちゃんが援護してくれているんだもの。
それに、私の中には勇者の血が流れてるんだから!
「うわあああ!」
私は雄叫びを上げてゴブリンに斬りかかったんだけど……
あっさりと避けられてしまって……
その勢いのまま、前のめりに転んでしまったんだ。
そして、倒れた私の背中を踏みつけたゴブリンは、
おじいちゃんと私をむしゃむしゃ食ってしまったのだった。

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 バイリンガル失恋ソング

 『バイリンガル失恋ソング』という、謎のジャンルを確立しつつある俺。
そんなわけで、俺は今日も元気に失恋しているのだった。

俺はいつものよう女の子に声をかける。
―――あの! よかったら今からお茶しませんか? すると彼女は決まってこう言うのだ。
―――いいよー♡
 そして俺たちはカフェに行って、楽しくお喋りをする。最初は緊張してあまり話ができなかったけれど、今では彼女の趣味や好きな食べ物など、たくさん知ることができた。彼女と話すたびに、彼女を知るごとに、俺はどんどん彼女にハマっていった。もうすっかり彼女に首ったけである。…….しかしそんなある日のこと、突然彼女が言った。
――私ね、彼氏がいるんだ〜♪

 バイリンガル失恋とは、二股を掛けられるってことかよ! もう、ヤダっ!

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   ゾンビに教えられたこと

ゾンビに教えられたことを思い出す。
──いいかい、坊や?  世の中で一番怖いのはね……ゾンビじゃあないよ。
その言葉の意味を、今の彼は理解していた。
この世界に蔓延る怪物などより、よほど恐ろしいものが存在するということを。
そして、そんな存在が目の前にいることを。
だが、それでも……
(俺は、まだ死ねない!)
そう心の中で叫ぶと、鬼は走り出した。背後から迫る恐怖を振り払うように。

ゾンビ仲間たちは、鬼をかばってやつらの前にたちふさがる。
やつらは、橋の向こうからやってくる。
攻撃は最大の防御。
鬼とゾンビがあいつらを倒しに橋を駆け抜けていく。

橋の向こうにあったのは。
きらびやかなビル、コンビニ、自動販売機。ゾンビより恐ろしいものとは……
人間だったのである。

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   酔っ払いゲーム機

「あー、もう! 何でこんなに面倒くさいんだよ!」
 ゲーム機は、アルコールの臭いを漂わせ、身体中が真っ赤になっている。
「おい、お前ら! 俺様を誰だと思ってるんだ!?」
「……えっと、確か、酔いどれゲーム機だったよな?」
「誰が酔っぱらいじゃぁあああっ!! いいか? よく聞け! この偉大なる魔神である――」
「あー、はいはい。分かったから、とっとと帰れ」
「こらぁ! 最後まで話を聞かんか!」
「ったく……。それで、何しに来たんだよ?」
「決まっておろう! 貴様らの願いを叶えるためだ!」
俺は、悪態をついた。
「やれやれ……」
ため息をつくと、もう一度、ゲーム機のスイッチを押した。
するとゲーム機はアワを食って言った。
「3つの願いを言わないと、俺様は解放されないんだ!」
「壺の中の魔神かよ。願いが叶うとロクなことにならねーんだよな。
はい、じゃあ、またねー」
ゲーム機は、廃品回収に回された。

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 フシギ大増殖

「フシギ大増殖! この世の終わりだ!」
「あははっ、確かに」
「なにが『確かに』だよ。俺の頭を見ろよ、こんなにもふもふになってんだぞ? このままじゃ俺はもう戻れなくなるかもしれない……」
「それはそれでいいと思うけど?」
「頭のもふもふが、芝になってきた! サクラの木が生えてきそうだ!」
「落語にそんなの、あったよね」
「もふもふから、アメーバや恐竜が生まれて来た! おれって創造主かもしれん!」
「地球がピラミッドになるかもね」
「ぎゃーっ! 頭が核戦争はじめやがった! 芸術は、爆発だ!」
「ご愁傷様」

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  結婚式危機一髪

「――ああ、もう! なんでこんなに可愛いのかしら!」
「えっ!?」
突然そんなことを言い出した美菜に俺は驚いた。
いや、まあ確かに美菜の言う通り、俺の容姿は客観的に見たら良い部類に入るだろうけど……ってか美菜も結構な美人だよなぁ……
「……タカシ! 今なんか変なこと考えてなかった?」
「へ? い、いや別に……」
「ふーん……まあいっか。じゃあタカシ、はいこれ」
そう言って美菜が差し出してきたものは――
「こ、これは……美男子になれる薬! おれにこれ以上イケメンになれと?」
「違うわよ。あんたのおとーさんに飲ませてやるのよ。
結婚式にブオトコなお父さんがいっしょじゃあ、
体面が悪いものね」
「おまえは誰と結婚するんだ? 俺だろ!」
「でも友だちも参列するんだよ?」

こんな些細なことから俺たちはケンカになった。
結婚式は明日だ。

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 消しゴムアレルギー

「どうしたの? さっきから様子が変だけど?」
「いや……別に」
ミカサの言葉に、僕は何となく照れ臭くなり視線をそらした。
実は僕は、消しゴムアレルギーだ。触っただけでじんましんが出る。
だから、ノートを取るときは、ボールペンでとり、修正ステープラーで修正する。
ミカサは、そんな僕に消しゴムを渡そうとしていたのだ。
仕方がない、我慢して使おうか……そう思ったときだった。
―――シュッ! 突然、僕の前の席に座っていた男子が振り向きざまに、ミカサの手にあった消しゴムを奪い取った。
そして、そのまま口に放り込む。
モグモグ……。……え? ゴクリ。……今、食べたよね?

消しゴムと見えたのは、四角いチューインガムだったのだった。

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 コンビニ動物園

「コンビニ動物園って知ってるか?」
「……なにそれ?」
「え? 知らないのか? ほら、こっちこいよ」
そう言って俺の手を引いてベンチから立たせると、そのまま走り出す哲也。
「ちょっ! どこ行くんだよ!」
「いいからついて来いって!」
「おいっ! だから俺は行かないって言ってるだろ!」
そんな俺の言葉も聞かず、どんどん走っていく哲也。仕方なく走る俺。
行ってみると、小さな一廓に店があり、動物の吼え声が聞こえてきた。
それはまさに動物の声をサンプリングして作ったような音で、 なんとも不思議な感覚だった。
そしてその店のレジの前には、ライオンやゾウなどの様々な動物ホログラムがいた。
どれも本物のようにリアルに再現されており、 ビックリ仰天である。
俺はそこでパンダの形をしたクッキーを買って帰った。
そして、いまも、近くの竹林から竹をくすねて、クッキーを飼っている。

 

ショートショートにハマってます(072まで)

禁じられた森

その森は、禁じられていた。
赤ずきんちゃんは、どうしてもそこを通って
おばあちゃんを見舞いに行かねばならなかった。

森を抜けようとすると、
狼が現れて言った。
「この先へ行っちゃダメだ。亡霊が出るよ」
赤ずきんちゃんは、好奇心をそそられて
森の奥へと足を踏み入れた。

するとそこにいたのは、青白い姿をした女の亡霊。
彼女は赤ずきんちゃんの身体を乗っ取り、
おばあちゃんを殺そうとする。

しかし、現れた猟師の持つ十字架によって
亡霊は退散した。

禁じられた森は、今でもドイツのどこかにあるという。

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スマホ免許

年寄り用のスマホが出て何年か経ったが、
スマホを扱えない年寄りはあとをたたなかった。
事態を重く見た政府は、スマホ免許という制度を導入。
これを持たない年寄りは、電話が出来ないように処置した。
もちろん不満は出たが、
免許試験のための教室は無料、
通話料も免許取得後は3年間無料ということで、
みんな納得した。

うちのじっちゃんも、スマホ免許のために
教室に通っている。
おなじ年寄りどうしで雑談に盛り上がり、
脳の活性化にも役立っている。

スマホ免許を取りさえすれば、
若者とも対等に話せるので、
文句を言っていた年寄りも、やがて
感謝するようになったのだった。

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未来のランキング

SDGSに貢献した人々のランキングを
国連が発表するようになったのは、
2035年のころからである。
地球資源は枯渇しつつあり、
環境などの諸問題を解決するために
個人単位でのヤル気を盛り上げるためだった。

各国国民が、ランキング上位をねらって
熾烈な戦いがはじまった。
他人の功績を横取りする者も現れたりして、
もう、たいへんな騒ぎである。

ゆるい感じでランキングにも参加しない国民からは、
国連のやり方を嫌う人もいる。
SNSなどでチャットをしあい、
SDGSの成果を自慢する者もいる。

各国の言葉でチャットをする。
コンピュータが翻訳してくれるテキストなのだが、
個性がたっぷり。
オバサンらしいセリフを吐く者、
ツッパリ青年、
アラブの石油王などなど……

いまではSDGSの成果もあがり、
地球は救われたが
チャットでの交流は終わっていない。
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   読書の悪いところ

 時間が取られることがあげられる。
1分間に読める文字数は、400~600文字程度だといわれている。
1時間読んでも、24,000〜36,000文字程度なので1冊読み切るには4時間以上はかかる計算。
目も疲れる。本を長時間直視すると、目に疲れが溜まってしまうかも。
もちろん読書は人生に役立つ知識を多く得られる。
知識を豊かにすれば、仕事やプライベートにも活かせるようになる。
しかし、読書で得た知識によって、行動しにくくなってしまうこともある。
 また、読書のデメリットとして運動不足になることが挙げられる。

メリット
語彙力や教養が身に付く
発想力や創造力が高まる
自分の価値観や行動の幅を広げるためにも、本を読むことをおすすめします。

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ラップの意外な使い方

スーパーに並んでいるナマモノは、
大抵、ラップでくるんである。
肉や魚、個別に売られている野菜などなど……
一個ウリのキュウリやニンジンに
ラップが必要だとはわたしには思えないが
スーパーでは、だいじに扱われている。

ある日、駅前の工事現場にさしかかった。
そのお店に飾ってある、カニの看板が
ビニールで覆われている。
ナマモノでもないのに、ラップでくるんでいるのだ。

わたしが注視していると、
カニの看板が取り外された。
代わりにラップでくるんだ
七福神の看板がつけられた。

この店がカレー屋になったのは
それからしばらくしてからのことだった。

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 美保の決意

 担任が、私に、山本くんへの夏休みの課題を、持って行くように言った。
例の、薄気味悪いニヤニヤ笑いを浮かべて。
山本くんの近所には、苺ちゃんがいたのに、なんで私が行かなきゃならないんだろう。

嫌で嫌でしかたなかった。
たんぼ道のそばを歩きながら、この宿題を捨てていこうかと何度も思った。

捨てていけば、担任がまた、ニヤニヤ笑いながら、私に課題を持って行かせるんだろう。
山本くんなんか、全然、なんとも思ってないって、担任に何度も言ったのに。

私は初夏の空を見あげた。
あの彼方へ飛んで行けたらどんなにいいだろう。
しかし私は人間だ。自由には飛べない。

負けるもんか!
山本くんのところへ行ったら、彼とおなじように、学校へは行かないって先生に電話してやろう。

その時になって先生が後悔したって、もう、遅いんだから。

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火星のスイカ

JRは、各地方にわかれて競争しているが、
JR西日本JR東日本をライバル視して
なにかというと、突っかかっていた。

JR東日本が、スタンプラリーをすれば
JR西日本は、スマホで駅チェックをする。
JR東日本が駅弁ランキングをすれば、
JR西日本キヨスク売り上げランキングを発表する……。

そして時は22世紀。
宇宙開発が進み、JRも火星で交通網を建設。
通勤・通学のためにひと肌ぬぐことになった。
JR西日本は、専用の電子カードICOCA
JR東日本に先立って発売した。
JR西日本は、勝利を確信した。

しかし、JR東日本は慌てず騒がず、
電子カードマネー発売記念として
果物を発売した。
題して、「火星のスイカ」。
先行予約で手に入れた人に
限定的に発売したので
JR東日本は一気に逆転、
売り上げランキングが1位になった。

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パラレルワールドの地球

愚かな生物兵器を放ったために、
ある惑星の住人たちは病気に感染してしまった。
ワクチンが開発され、
対処が急がれたが、
病気は克服できず、惑星の住人たちは絶滅したかに思われた。

住人たちは、最後の望みを託して
宇宙ロケットに自分たちの窮状を訴えるプレートを載せた。
宇宙人たちに救難信号を送ってみることにしたのだ。
もちろん、反対はあった。
弱みを見せれば、襲ってくる連中だっているだろうからだ。

その宇宙ロケット発射反対派のなかに、エヌくんがいた。
エヌくんは、自力で物事を解決するのが一番、と考え、
同僚に呼び掛けて強力なワクチンを開発。
住民たちに投与した。


その後、宇宙ロケットの救難信号で駆けつけた宇宙人たちは
気味悪がった。
 
そのワクチンは、遺伝子に関与するものだったので、
数世代のちに住人たちは突然変異して
化物になったのだ。

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空飛ぶ蛇

ずっと夢に見ていた人がいる。
狩衣を着て、顔は貴族的。
うっすらと薫る香のにおい。

娘は毎晩夢に出てくるこの人に
惚れるようになった。
しかし、その話を聞いた住職は、

「それは物の怪に違いない」

と思い、娘にタバコのヤニを持たせた。
物の怪は、タバコが嫌いだと聞いているからだ。

その夜も更けた頃、
またしても夢に狩衣の男が現れた。
しかし、タバコのヤニのため
近づくことが出来ない。

事情を聞いてみると、
蛇の間で病気が流行った。
娘は医者の子なので、
助けを求めたのである。

さっそく、病を治す研究がはじまった。
娘は男のために、夜も寝ずに薬草を煎じた。
その甲斐あって、
蛇は空を飛ぶほど恢復したという。

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おっちょこちょい株式会社

入社見習いに来たエイチくんに、
おっちょこちょい株式会社社長の
エヌ氏は、そっくり返っていった。

「アルバイトも、ある場合とない場合とがある」

あまりにキレイなギャグだったので、
エイチくんはマジメな顔でうなずき、
「それで、ぼくはなにをすれば?」
と問いかけた。

エヌ氏は、せっかくのギャグがウケなかったので
ガックリ来たが、
気を取り直して言った。

「待合室のソファに座って待っていたまえ」
エイチくんは、ソファに座って待つことにした。
その前を、美人さんがやってきた。
エイチくんに気づくと、なにか言いたそうな顔をして
少年の前をウロウロしている。

自分に気があるのだろうか?
エイチくんは、ドキドキした。
こまったことに、エイチくんには
彼女がシッカリいたのだった。

そう言って断ろうとしたとき、
美女は叫んだ。
「あなた、わたしの帽子を敷いて座ってるのよ!」

エイチくんが会社に雇われたのは、言うまでも無い。

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  誰も知らないカフェ

 究極のカフェを営んでいるというエス氏は、しかし、だれもそこに案内しようとはしなかった。だから、カフェのある場所は、誰も知らなかった。

秘密めかしたエス氏の動向をあやしんだアイ氏は、エス氏のあとをつけた。
エス氏は、森の中へと消えていった。
アイ氏はさらに、あとをつけた。

ふたりが森の奥に向かって歩いて行くと、行く手にボロい小屋が見えてきた。
薄明かりの中、そこだけスポットライトが、当たっているかのように輝いている。

見ると、小屋からなんと、妖精が出て来て踊り始めたではないか。
アイ氏は驚き、思わず前に出て言った。

エスさん、これは素晴らしい。
どんなトリックを使ってるんですか?」
悲鳴が上がり、小屋はすったもんだの大騒動になった。

その後、カフェは閉鎖され、アイ氏はエス氏にこっぴどく叱られた。


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 ごはん結婚式

時は宇宙開拓時代、異星人とはじめて結婚した女性は、相手が昆虫食だと言うことになじみがなかった。
自分はごはん党である。
ごはんはすごいのだとアピールをし始めた。

ごはんはすごいのよ、と披露宴の最中に、彼女は異星人をかきくどく。
披露宴は、ごはんと昆虫の両方が出ていた。
BGMには、小さな鐘が鳴らされて、異星人風の食事に対する感謝の念が示されている。

ごはんは、納豆にも合うし、キムチにも、海苔にも、ごま塩にも合う。
昆虫なんて、なんに合うというの。

説得されて異星人は、昆虫食を止めてごはん党になった。
しかし食事中に鐘を鳴らす習慣は、あらためなかったのだった。

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   嘉助ってだれ

 忍者たちの8割は、男である。もちろん、くノ一もいるが、
ほとんどが男であった。行動する時間も訓練も
ともにする時間が多い。
なので、当然、男同士で恋愛感情が
芽生えたりもする。

しかし佐助は、男には関心がなかった。
現代で言うところの、ストレートなのである。
言い寄ってくる助三郎や、
嘉助たちをかわしつつ、
訓練に励んでいた。

そんなある日、佐助は、くノ一のお由美さんと
恋愛関係になった。
お由美さんはマジメな佐助が
自分に対してあまり口説いてくれないので
お冠で言った。

「ねえ、嘉助ってだれ? どういう関係?」
佐助は参ってしまった。
「ただの忍者仲間だよ。おまえ、妬いてるのか?」
「なにさ、うちを放っておいて嘉助といちゃいちゃ。
 あいつはあんたの何なのさ?!」

 今日も佐助は、お由美さんの尻に敷かれている。
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  一億円の健康

 好きなモノを好きなだけ食べ
運動もめったにしない大富豪が
一億円で健康を買おうとしていた。

事の起こりは、テレビ局のダイエットバトル番組。
あなたにピッタリなダイエット法をお教えします、
と言う触れ込みで、放送を開始したら
視聴率がぐんぐん伸びる伸びる。
CM会社は大喜びだった。
そのCM会社を大富豪が買い取り、
自分ひとりのために健康番組を作れ、と
ディレクターに命令したのである。

しかし、努力しないダイエットなんて聞いたことがない。
断ることも出来ず、ディレクターは必死で考えた。
そして思いついた。

「これを食べれば、ダイエットできます」
差し出したのは、こんにゃく食品。
大富豪はそれをひと口食べて気に入り、
一億円でそれを買い込んだ。

飽きるまで食べて、かえって太ったそうである。

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ちいさなちいさな動物園

戦前、R電車の沿線に、ちいさなちいさな動物園があった。
そこにいるのは熊ぐらいなものであったが
幼児や子供たちは喜んで見に来ていた。

しかし戦争が始まり、食糧難が続くと
熊にやるエサにも事欠くことになった。
それどころか、熊を殺して食え、という人まで現れた。
熊肉は美味いというのだ。

それを聞いた少年は、こっそりちいさなちいさな動物園に忍び込む。
熊の檻に近づき、探し当てていたカギで開けて、
熊を逃がしてやったのだった。

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フシギ小学校

その山の奥には、小学校がある。
ただの小学校ではない。妖怪たちが
人間をおどかすための勉強をしている学校だ。

ろくろっ首は、ふつーの姿をしていながら
一般の世界に溶けこみ、
踏切や信号機でその正体をあらわす。
つまり、「首を長くして待っている」状態。
小学生の悲しさ、
首があまり長くならず、おどかすまでにはいかない。

ひとつ目小僧は、サングラスをかけている。
夜にもサングラスを外さないので、
子どもたちがあやしんで、取り囲んでいくと、
「ばあ」
ひとつ目小僧は、グラスを外す。
しかし、小学生の悲しさ、
似合わないサングラスを
いぶかしんだ大人から、
「パーティ・ジョークだ」
と言われてガックリ。

そんなこんなで小学校時代は終わっていく。
妖怪たちの修行は、まだまだ続くのだ。

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バナナを食い尽くしてやる

「ここのバナナを全部食い尽くしてやる」
「おい、この店はお客さんにそんなこと言うのか?」
「うっせーな、テメーは黙ってろ! 俺は今、そのガキと話をしてんだよ!」
「……あぁ? 俺が誰だか分かってんのか?」
「うるせぇ、テメェこそ何様のつもりだよ!?」
おっと、ここで喧嘩が始まりそうな気配です。
いや、もう始まってると言っても過言ではありませんね。
「なんだ?やるのか? やってもいいんだぞ?」
「上等じゃねぇかよ……」
ついに喧嘩が始まってしまいました。
このままだと、僕まで巻き込まれてしまいそうです。
とりあえず僕は、カウンターの裏に隠れてみます。
そして、様子を窺います。
すると……
ガッッ!!! バキッッ!! ドカッッ!!! ズバッッ!!! なんということでしょう。
あの屈強な男達が、全員地面に倒れています。
店のバナナが、こんなに人を強くするとは思いませんでした!


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ギョウザを売ろう!

ここは異世界と通じるお店。
ギョウザの売れ行きが芳しくないため、
店主は新しいギョウザのアイデア
店員から募集した。

「ニンニクましましなんてどうでしょう」
「ショウガの入ったギョウザとかは?」
どれもパッとしなかった。
 最初は売れるのだが、安定的に売れないのだ。

「ギョウザを立方体にすればいいのでは?」
ある店員が思いついた。
「小籠包(しょうろんぽー)のように
包みを小さくして、四角くしてみるのです」

試してみたら、それが異世界人にウケて
今では店は大繁盛になった。


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一億円の涙

 一億円の涙、と呼ばれるダイアモンドが盗まれた。
 盗んだのは怪盗X。名探偵は、その犯行を暴き、
 ダイアモンドを取り戻さねばならない。

 しかしダイアモンドを盗んだ怪盗Xは
 名探偵の恋人だった。
 自分の父親の持ちものだったダイアモンドを取り戻しただけだという。
 名探偵は恋人のために、
 その犯罪を封印する。

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火星の自己紹介

やあ、ぼく火星。英語では、戦いの神マーズの名前がついているよ。
明けの明星とも呼ばれている、地球とかなり似ている星なんだ。
重力は地球の0.8倍。砂ばかりだけど、昔は運河があって、
超古代文明が栄えていたんだよ。
そこに住んでいたトカゲ人たちを、
戦いを好む超生命体が滅ぼし、
運河は干上がってしまったんだ。
異星人には気をつけてね。

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人を食らい、暴力の限りをつくす鬼も、病気になるのです。
赤鬼の子どもも、重い病気になりました。
赤鬼は、人間の名医のところへ訪れ、
「子どもを助けろ、さもなくばおまえを食ってやる」
と脅したのでした。

名医は、慌てず騒がず、
「わたしを食ったら、ほかにきみたちを診てやる医者はいないぞ」
とさとし、子どものいる山奥へと訪れ、
子どもを助けてやりました。

赤鬼は、そのお礼にその村を襲うことをやめたのです。

 

 


 
 

 

ショートショートにハマってます(第050話まで)

雨雲缶詰

時代は24世紀。おれは信濃
山をトレッキングしていた。
一天にわかにかき曇り、
雨が降ってくる。

だが、おそれるには及ばない。
「この缶詰を開けると雨雲が吸い込まれます。
キャンプや登山、ハイキングなどのお供にどうぞ。
中で龍神が暴れるので、お祓いが必要です」

という取扱説明書を見ながら、
おれは缶詰のフタを開けた。

するとどうだろう。
缶詰の中に、雨が吸い込まれて行くではないか。

しかし唯一の計算違いだったことは、
帰ったら缶詰の中で龍神があばれたため
幼い娘が怯えて泣きわめき、
おれの心が雨模様になったことだった。
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ギャグ時計

おれの時計は、アラームが着いている。
そこまでは普通だ。アラームの着いた時計ぐらい、
誰だって持っているだろう。
だが、おれの時計はちょっと違う。
アラームが、ギャグになっているのだ。

朝七時。起床時間が近づくと、時計は言う。
「7時です。紅茶がこおっちゃった!」
「7時です。前髪が長くて、前がみえない」
「7時です。鬼はー外。お庭の外」
といった、どうでもいいダジャレを、
毎朝、言ってくるのである。

いつも楽しい気分で目が覚めるのだが、
ある朝、恋人を連れてうちに連れてきたとき、
恋人がそのギャグを聞いて眉を寄せた。

「なにこの寒いギャグ! こんなの聞いてウケるなんて
あんたもサイテーね!」
おれは彼女にフラれてしまったのだった。
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宇宙ステーション『かなたナイン』

宇宙ステーション『かなたナイン』。
ここには、アカナメ星の賭博ゲームや
酒を出すバーが用意されている。

その中でも、アカナメ星人はバーテンダーとして有能で、
政界のウラ事情
商売の駆け引きなどにも通じている。

かれが秘密を握っていると知り、
闇の組織ネチネチネットワーク(NNN)が
バーテンダーの命を狙い始めた。

バーの常連たちは
バーテンダーに近づけさせまいとした。

ところが、NNNの刺客コウモリ娘が
その妨害をはねのけてバーテンダーに迫ってくる

どんな攻撃も彼女には通用しない。
そうと知った常連のひとりが
バーテンダーに球を投げて、

「これは爆弾だ!」
と叫んだ。
バーテンダーはためらったが、彼女に球を投げつける。
すると、球は激しい光を放った。

コウモリ娘は退散した。
彼女にとって強烈な光は爆弾よりも恐ろしかったのだ。

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鬼のジュリエット

 ジュリエットという名の黒い犬がいた。
 犬小屋につながれている彼女は
 右目が見えない。なぜなら、
 ドーベルマンとタイマンを張って
 勝利したときの傷があるからだ。

 そのドーベルマン
 ヤクザの飼い犬だったのだが、
 ジュリエットはそのヤクザともやりあい、
 飼い主の配下にしてしまっていた。

 ジュリエットは鬼のような猛犬だ。
 ジュリエットの猛者ぶりは
 近所に知れ渡っていた。

 怖いものなしのジュリエットにも
 ひとつだけ、弱点があった。
 
 犬小屋につながれている彼女を見て、
 からかってくるヤツがいる。
 それは彼女のように黒い
 カラスだったのだった。
 
 カラスは散々、ジュリエットをいたぶると
 彼女の手の届かない空へと飛んでしまう。
 ジュリエットは悔しがったが、
 どうすることもできなかった。

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週刊バス

バスの利用客を増やそうと始めた観光客用の雑誌。
るるぶに対抗して作られた。
週に1度しか発刊されないため
観光客から飽きられて忘れられそうになっている。

「CMを打ちましょう」
ということで、テレビCMを始めた。
初期投資100万円でOKだそうだ。
社長はホクホクしながら朗報を待った。

しかし。
「最近の若者は、テレビより動画の方を見るみたいです」
営業が報告した。
動画のCMは、初期投資100万円では済まないという。
社長はガッカリして肩を落とした。

それを見た社長の娘は
発刊日にあわせてイメージキャラクターとして
テレビCMに出ることにした。

その可愛さと愛嬌で、
週刊バスの売り上げは伸び、
今ではバス観光客も増えている。

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青葉の笛

一ノ谷の戦いで討たれた最後の
平家の笛を源氏たちは探していた。
手練れの人間がその笛を吹くと
嵐を操ることが出来ると言う。

その笛を持つ惣太郎は
追われて山奥へ逃げ込み
盗賊達と混じって悪業三昧。

しかしあるとき、河原でみかけた
美しい舞姫に一目惚れ。
彼女のために笛を吹くことを決意する。

追っ手がかかるなか、惣太郎は
舞姫と共に源氏と戦う。
笛を吹く技量の無い惣太郎は
舞姫を奪わてしまう。

絶望の中、仙人に修行した惣太郎は
嵐を巻き起こす技量を獲得。
最後の笛が操る嵐の中
惣太郎は救い出した舞姫
固く抱き合うのであった。

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伝説のチャリンチャリン

チャリンチャリン効果音のある登場曲のバッターがいた。
代打だが、ホームラン率が高く、
監督からは頼りにされているバッターだ。

しかし定年を迎え、彼は代打を降ろされた。
コーチとして後進を指導することに。
しかし彼の打法は、
彼独自にしか通用しないので
後進はなかなか育たなかった。

その打法の秘密とはなにか。
後進のバッターは、伝説のバッターを問い詰めた。
「お願いだから、その打法の秘密を教えてください」
伝説のバッターは、弱ったように言った。

「うーん、マネしても意味ないと思うけど」
「なぜ?」
「だってチャリンチャリン音楽が僕を奮起させるんであって
君にはただの雑音だろ?」
「そんなことはありません! ぼくをパブロフの犬と思ってください!」

後進のバッターは
伝説のチャリンチャリンと呼ばれている。

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心電車

「この電車は、心電車です。
ひそかな願いが叶います」
アナウンスが響いた。
ぼくは乗り込んだ。

この電車に乗って行けば
長年会っていなかった恋人の咲帆に会える。
夕焼けが列車を染める。
列車は、ひたすら西へと向かう。

ひそやかに列車の中で待っていると
予想通り、咲帆が来た。
軽くウエーブのかかったショートボブの首に
マフラーをつけて。

ぼくは彼女に近づいて手を取った。
「咲帆」
生き別れになっていた。
やっと会えた。

ハッとして目を開いた。
夢だったのだ。
ぼくはじわりと熱いモノが、
まなじりにこみあげてくるのを
感じたのだった。

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まがったパーティ

「ねえ、キミ。なんで僕にそっけないの?
キミのためになんだってやってあげるのに」

 僕は、ジェーンにかき口説いた。
「キミにワインもバラも贈った。
シャンパンだって、部屋の飾り付け、
ダイヤの指輪や毛皮のコートだって。
なのにキミは毎晩遊び歩く
僕はどうしたらいいんだろう」

僕が言うと、彼女は笑って言った。
「パーティのどこが悪いの? 私はまだ若いのよ、
もし止めたかったなら、
まがったパーティでもやってみるのね」

僕は悪魔に魂を売って、パーティを曲げた。
つまり、見かけはゴージャス
中身は宇宙遊泳なパーティにしたのだ。

彼女は帰ってきたけれど
心はどこか寒い。
僕には彼女を愛するだけの
魂がないのだから。

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浮気なスーパーカー


日常を観察していると、細かいことが妄想のタネになる。
たとえば、セダンとスーパーカー
セダンは地道な主婦だが
スーパーカーは煌びやかで浮気な芸能人。
ふたりが結婚したら、どうなるんだろうか。

勝手に仲間を家に連れてきて
呑んだり騒いだりする夫に
妻が叫ぶ――「バカにしないでよ!」
……なんか、どこかで聞いたセリフ。

気分次第で妻を褒めたりけなしたり。
賭博したり、女を買ったり。
そうしているうちに、セダンの方も
防御策を講じ始める。
助手席を増やし始めたのだ。

つまり、こういうことだ。
セダンは、自分の隣にスーパーカーが座ってくれたら
浮気が終わると信じたのである。
どんどん増える助手席。
家だけでなく、道路やビル、
芸能人の事務所、

放送局から国会議事堂、

富士山の頂上にまでそれは達した。

スーパーカーが浮気を止めたのは言うまでもない。
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精密機械マッチングアプリ

人間と同じように、コンピュータにも相性がある。
せっかく用意した高性能な機器も
相性が悪いと接続してくれなかったりするのだ。
パソコンもおなじことだった。
パソコンを作る際の精密機械部品。
相性が悪いと、PCが動かない。

そこで、ネットの有志が
「精密機械マッチングアプリ
を開発した。
精密機械部品の相性をあらかじめ調べ、
相性のいいものをお報せしてくれる
優れもののアプリだ。
PCを自作して安く済ませようとする
マニアたちは、熱狂してアプリを歓迎した。


問題は。
そのアプリが、Windowsのみ対応で、
しかもOSは20からというところだった……

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道ばたで見かけたアレルギー

歩道橋下で地域ネコを見かけた。
ひとりの青年が、そのネコに
おやつをあげていた。
歩道橋の下には段ボール箱
毛布とカリカリの入ったエサ皿が用意されている。

ネコがこちらを向いた。
わたしはゾッとした。
悪徳ブリーダーとして、
わたしは売り物のネコに
ムリヤリ発情させ、
1年に4回も出産させた上に
首の骨を折ってやったのだ。

ネコがキラリと目を光らせる。
「にゃーお」
不気味な声だった。
わたしは足早に去ろうとした。

その時、ネコが襲いかかってきた!
わたしの全身に、じんましんが走る。
わたしはネコを叩きつぶした。
ネコは大嫌いだったのだ。

「助けてくれ! 虐待したのは謝る!」
口走ったとたん、青年が顔を向けた。

「ぼくは警官だ。動物愛護法違反でキミを逮捕する」
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猫の拾ってきた魔法


うちのタマは、ヘンなものを拾ってくる。
ゴキブリ、コウモリ、ハトの死骸。
空き缶、空き瓶、そしてなぜか
コロポックルまで拾ってきた。

しかもそのコロポックルは忍者の恰好をしており、
ネズミのシッポを生やしていた。

このちいさなちいさな忍者は、
あちこちに潜り込んでイタズラし放題。
あるときは、わたしの宿題ノートを
水でぐちょぐちょにしたし、

あるときは、隣のおじさんのカツラを持ってきて、
「戦利品だ」と自慢する。

「もー、やだっ。出てって!」
わたしがどなりつけると、コロポックル
おじさんの息子を連れてきてくれた。

息子は、わたしを見ると、
「前からキミのことが好きだったんだ」
と打ち明けてくれた。まさに魔法だった。

願いごとが叶ったのを見たコロポックル
ネズミのシッポを置いて
どこかに消えてしまったのだった。

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夢のギョウザ


2030年代、地球は空前の
食糧危機に見舞われていた。
食料となる牛や豚などを飼うスペースが足りず、
肉類は、のきなみ値上がりした。

当然、庶民にとってギョウザは夢。
中華料理店は、金持ちしか行けないのである。

しかし、あるとき、科学者が現れて
食糧危機を根本解決する
夢のギョウザを開発した。

中身は、なんと
コウロギ。
しかしこれがまた、結構イケる味なのである。

未来のギョウザはミミズではなく
コウロギであった。
遠い未来には、医療機関も発達して出生率も低下。
人口問題も自然と解決したという。
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未来の金持ち


未来には、宇宙開発が進んでいて
金持ちは、汚染された地球から脱出。
きれいな宇宙から地球を見下ろして
高みの見物としゃれこんでいた。

貧乏人たちは、そんな金持ちを
「ハイパー人類」と呼び、自分たちを支配する不当な連中として
敵視し、テロ活動に走った。

金持ちは、権力の限りを尽くし、残虐な拷問や尋問などで
貧乏人たちを苦しめたが

苦節50年、貧乏人たちは金持ちたちを天から引きずり下ろすことに
成功する。
犠牲者の数は多かったが
その後、協定が結ばれ、金持ちたちの財産は
貧乏人たちを救うことに使われるようになったのだった。
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  ピアノダウンロード

一家に一台、転送装置が存在する未来社会。
転送装置は、人間や物質を電子分離して、転送先で再構成する装置である。
エス氏は、その古いバージョンを持っていた。
そろそろ、バージョンアップの時期である。
しかし、おカネがないため、時代に取り残されていた。

エス氏はクラシック界のピアニストなので、
転送機をつかって愛用のピアノを移動させる。
しかし、ある公民館での演奏会で、
ピアノのデータをサーバーに移動させたとたん
ダウンロードできなくなった。

技師がやってきて、古いバージョンだったから、
公民館の転送機と相性が悪かったに違いない、と言う。
エス氏は、しかたなく、生活費をはたいてバージョンアップした。

いざ、ピアノのデータをダウンロードしたら、
なんとピアノがチェンバロになっていた。
公民館の転送機がさらに古いバージョンだったので、
ピアノのデータも古くなって保存されたらしい……

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 ニセ太郎の活躍

 鬼退治で宝物を持ってきた桃太郎を見た梅太郎は、
羨ましくてたまらなかった。
自分も鬼退治をしようと、キビ団子を持って鬼ガ島へ。

途中で、オオカミ、チンパンジー、カラスの子分を採用。
舟をこぎ出し、鬼ガ島へ乗り込んでいく。

ところが……。
サイレンが鳴り渡った。
「太郎注意報発令! 太郎注意報発令!」
鬼は今度は不意を突かれなかった。
梅太郎は逆に退治されてしまったのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

LGBTQの悩みごと

身体と魂の性別が一致しないと感じ始めたのは、14歳の頃だった。
自分の身体は男の子だけれど、魂は女の子としか思えない。

スカートを履きたいし、お人形遊びもしたい。お化粧だってしたい。

男の子は、そんなことはしないんだと、ママは言うけれど
だったら男子ってなんなのか、って質問したら、答えてくれなかった。

ある時、私が道を歩いていると、ヤクザにからまれている女子を発見した。
私を見ると女子が、
「助けて!」
って叫ぶ――

私は、ヤクザから逃げかけたが、それでも、立ち向かっていった。
女子は私に言った。
「たくましいあなたが大好きよ」

人は見かけが9割という話である。

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 道で見かけた地球

 小学生が、道ばたを通りかかったとき、
作業服を着た男が話しかけてきた。
「そこのボク。道に地球が落ちてるよ」

小学生は立ち止まり、シゲシゲと男を見つめた。
ヒゲぼうぼうで、作業服もしわくちゃ。
労働者って感じはするが
宇宙人かもしれない。

少年は、用心深く男に近づいた。
地球は青かった……」
 頭の中を、ガガーリンの言葉がかすめる。
 青くて丸い地球は、人間なんかアリにも見えないほど巨大で、
 道に落ちているような存在ではないはずだ。
 この作業服の男は、
 どこか、イカれているのだろうか。

 少年が逃げ腰になると、男は電信柱を示した。
そこから垂れる一本の電線。
「ほらね、アースが横たわっている」
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全力で推したい酔っ払い

スタンダップコメディアンを目指す
風采のあがらない男がいた。
目はやぶにらみで、肌は荒れ気味。
全身からアルコールの匂いが漂っている。

ここは場末のバー。派手な化粧のママが
酔っ払いがやってくるのを見て、
――また来たか
と思っている。

酔っ払いは、店内を観察した。
いつ、どこで獲ったか判明しない
さまざまなトロフィー類が
棚に並んでいる。

ナマモノでもないのに
色紙がビニールに包まれている。

彼が注文する前に、ママが既に
ビールを注文する。

そういったことを、手帳にメモしていると
店の子が、酔っ払いに笑いかけて言った。

「がんばってくださいね」

酔っ払いは、テレビのお笑い番組に出て
有名になった。

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初めてのボーナス

初めてボーナスを貰った。
なにを買おうか?
OLの侑子になにをプレゼントしよう。

ライバルは大勢いる。
ぼくに注目して貰うには、
よほど特別なことをしなくては。

ダイヤモンドの指輪は給料の三ヶ月分。
ミンクの毛皮も、それくらい。
スーパーカーを買って
いっしょに中央フリーウエイを飛ばそうか。

夜空を見あげて考える。
その時、ネットニュースが入ってきた。
ぼくは決意した。

星の命名権を買って、侑子の名をつけた。
これであの子は、永遠に名前が残る。
侑子がこれを知ったら、
きっとぼくのものになる。

ぼくは空を見あげながら、
命名権をくれる研究所へと駆けて行った。

 

 

 

ショートショートにハマってます(第028話まで)

    復讐のおと

「これは、700年前に死んだ邪悪な魔法使いが、
強大な鬼を呼びだすための
伝説のノートだ」

「鬼なんて、いるわけないでしょう」
エヌ氏は、嘲笑した。
「いや、これはホンモノだ」
おれは、真顔で答えた。
「そのノートに恨みを抱く相手の名前を書くと、
鬼がその人に、復讐してくれる」

おれは、それを取りだした。ページには、ビッシリ名前が書き込まれている。
「この最後の行に、あんたの名前を書いておいたぜ」
「ええっ?」
エヌ氏は、驚きながらノートを見つめた。

「あんたは妻を寝取った。鬼にお仕置きしてもらう」
「ちょっと待ってください――」

 ふっふっふ、とおれは笑った。
 扉がバタンと開いた。ツノの生えた邪悪な顔がのぞく。大きな手がエヌ氏にかかる。
「ぎゃああああ」
 バキッ、ボキッと骨の折れる音。
 おれは、ノートをかざして宣言した。
 「これがほんとの鬼のおと」

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ダイエットバトル
さあ視聴者のみなさん、お待ちかね
ダイエットバトルのお時間ですよ!
今日のお客さまは、総体重400㎏超え4人家族の
高村さんご一家と、加藤さんご一家です。

あらためて、このバトルをご説明いたします。
いまから2ヶ月以内に、総体重400㎏台のみなさんが
総体重100㎏台に落とすこと。
出来なかったチームは、出来たチームから
10万円の給料をさっ引かれます。

無理なダイエットをしないように
専門家のサポートもついており、
見届け人にはお笑い芸人と大食い優勝者を
招いています。

ダイエット法は、「ながら筋トレ」
「3分泣くだけダイエット」や
ラクに痩せる栄養士的レシピも大公開!

と、いう動画をネットでみかけた。
体重を気にしていたおれは、
ものすごく見たくなったので再生してみた。

「この動画は配信終了しました」
がーん。
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イラン人にプロポーズ

おれは、イラン人の彼女にプロポーズした。
イランは、厳格なイスラム国なので、
その教えに基づいた道徳教育が
徹底されており、
旅行者が犯罪に巻き込まれることはほとんどない。

チャドルを着た
イラン人の彼女、アーイシャは、
その中でもとくに親切で穏やかだった。

どこから来たのか聞かれて、日本からと言うと、
一気に満面の笑みで
Welcomeと言ってくれ、
お菓子やお茶をごちそうしてくれた。
おれは日本では、こんな歓待を受けたことがない。
性格が悪いと言われて嫌われている。

おれはイライラしながら、アーイシャの返事を待った。
どうなんだ。OKなのか、ダメなのか。

アーイシャは、しずかに目を開けた。
そして、親指を立てた。
「やった! OKだ!」
おれは、アーイシャに抱きついた。

が、アーイシャは身を振りほどいて叫んだ。
「バカ、これはFuck You! って意味よ!」
文化の違いって、きらいだ。

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代金として……

週に一度、どこからかメガネが届けられてくる。
動画CMで見た説明によると、
それをつけていると一週間だけ、
世界一のものが見えるという。

つけてみると、いろいろな世界一が見えてきた。
スマホの部品は、
日本の中小企業が作っているし、
自動販売機の普及率も世界一。
スーパーや百貨店に行けば
輸入牛肉が世界一。
タコの消費量も世界一。
なんと、世界一という名前の
リンゴもある。

そんな情報が、どんどん入ってきた。
わたしはとても誇りだった。

「今週でNo.1メガネの配達も終わります」
突然のことで残念だが、仕方ない。
同封の書類に何か書いてあったが、
気にしなかった。

メガネ越しに世界を見た。
突然、身体が重くなった。
視界が狭くなり、足がヨロヨロ……

慌てて書類を見ると、こう書いてあった。
「日本は世界一の長寿国。若さを代金としていただきます」

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食べられる消しゴム

この消しゴムうんこは、食べられるんです。
カレーのルーみたいに茶色くて、
見かけはちょっとエグいけど、
においはおいしそうでしょ。

ほら、よく嗅いでごらんなさい。
ウコンやガラムマサラなどの
スパイスの香りが漂ってくるでしょう。
ひとくち食べれば、1日分の
エネルギーチャージにもなるんです。

もちろん文房具としても使えます。
ノートに書いたボールペンの字も、
書類にしたためた印鑑の朱肉も、
これさえあれば、消すことが出来ます。

ただし、文房具として使った後は
よく洗ってくださいね。
消しゴムうんこについたインクは
有害なものがおおいのです。

お値段は、たったの50円。
ただし、3ヶ月以内に使い切ることができなかったら、
割増料金を、いただきます。

割増料金といっても、そんなにたいしたお金じゃありません。

あなたの、魂が欲しいのです。

ケケケケケケケケ……

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野武士恋愛事情

藤本誠道は戦が大好きだ。血わき肉おどる相手との戦闘がたまらない。
鉄のにおいと生臭い血しぶき、鼻がもげるような馬の体臭、汗のにおい。

しかし満月になると、藤本はなぜか山奥に行く。満月の藤本は、
武士ではなく、心優しい木こりとして、村人を助けているのだ。
木こりとしての藤本は、ケガをした動物にも
手を差し伸べるような人間だった。

その満月の木こりに、恋をした女がいた。
どこからともなくやってくる藤本の謎に魅せられ、
足元をじゃまする下草にもめげず、
女は木こりを追いかける。

朝日がさしこんでくる山奥で、木こりはもとの藤本に戻る。
「ええい、じゃまだ!」
藤本が、女を蹴倒そうとしたそのとき、

木こりとしての藤本が目を覚ました。
「おゆうさん!」

女と木こりは、戦場を逃げだし、遠く山の彼方へと駆け去った。

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ロボット殺人事件

ロボットに人権が認められてから数十年経った。
わたしはシャロキアン・ホルムズ。ロボットの探偵である。
今日の依頼は、警察では解決出来ていない殺人事件の
遺族からのものだった。

「わたしの父は、ロボット製作会社の社長でした」
遺族の佐知子さん(18歳)が、涙ながらに訴えた。
「ふだんから心臓が悪く、不整脈が出るのです。
 犯人は、それを知っていたのよ」

わたしは、調査を開始した。証拠はないが、犯人とみられる人物を
特定した。
犯人は、ロボットに職を奪われた佐知子の兄大地だった。

問い詰めると、大地は自白して言った。
「オヤジは自分でもロボットになっていた。
 ペースメーカーというロボット部品をつけているのが
 その証拠だ!」

 大地は、有罪判決を受けて無期懲役になった。
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暗黒の紙

「この財宝を、娘ビクトリアに……」
 そう言い残してパパは死んだ。

パパは、トレジャー・ハンターだ。
世界のあちこちを飛び回って、
古代遺跡からお宝をゲット。
大富豪や美術館などに
売りさばくのが仕事だった。

いつも怯えていた。
残忍な方法で殺された。

私は、ロボット名探偵シャロキアン・ホルムズに
助けを求めた。

彼は、こんな調査結果を出してくれた。

パパは古代文字の紙を見つけた。
財宝の在処だ。仲間3人で山分けすることになった。
しかしパパはその紙を奪い、
故郷のイギリスへ走ったのだ。

仲間は、私の家まで押しかけてきた。
逃げる私。
家の庭で追いつかれた。
財宝の在処さえ渡せば、命は助かると仲間は脅す。
私は、古代文字の書かれた紙を見つめた。
ヤケクソで池に投げ込んだ。

ボッ、と紙に火が点いた。
トルネードのよう……
仲間たちは、炎に巻かれたのだった。

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ものすごく強いアンドロイド

サラと言う名前のアンドロイドがいた。
反物質融合で動く身体を持っているので、
ものすごく、強い。

5トンもある鉄塊を持ち上げ、
マッハ10で走り、
難しい物理の計算も
ソッコーで答える。

科学者は、この出来栄えに
大満足した。
あまりに神がかって優秀なので、
部下のひとりが、
神棚に彼女を置くほどだった。

あるとき、部下のひとりが
サラの陽電子頭脳に
塩を掛けた。
「なにをする!」
科学者が、激高する。

部下は言った。
「お清めの塩が必要だと思いまして」
「サラダじゃないんだぞ! もし、機能不全になったら
どうしてくれる!」

科学者は、サラのスイッチを入れた。
「サラ、大丈夫か。1足す1は?」
 サラは、真顔で答えた。
「ハイ、答えを出すためアップロード更新をかけます。
終了まで3年……かも?」

 サラがジョークを言い出したのは、それが最初のことである。
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ノート争奪戦

あいつもこいつもクラス一の
品行方正、容姿端麗、成績優秀な
佳恋(かれん)のノートを
見たがっている。

佳恋の心友によれば、
非の打ち所がないノートで
これを見ればどんな厳しい試験も
パスするという。

今日の試験のレシピは
三ヶ月前に実習した、麻婆豆腐だ。
おれは、その時寝ていたので
レシピを写すのを忘れていた。

佳恋に近づいて、言った。
「きみのノートを見せてくれ」
佳恋は、眉を寄せた。
「試験の対策なら、別な人に」
学友が顔を出した。
「ああっ、遙人、抜け駆けするつもりだな?!」
「なんだと、おれは佳恋のノートの予約をしてたんだぞ」
 おれは学友とノートを取り合った。

「約束だろ、守ってくれよな」
佳恋の手から、奪い取ってノートを開く。

「わたしは授業を暗記してるの……」
佳恋は言った。
ノートは白紙だったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昔むかし。ある大富豪の跡取り娘がいた。
彼女は、むかし結婚していたのだが
夫を亡くし、いままた新しい夫を
募集していた。

トメ吉は、その募集に応募した。
「わたしの夫に相応しいかどうか
激辛の試験を受けてもらいます」
跡取り娘は言った。

トメ吉は、食卓に激辛料理が並ぶのかと思った。
激辛料理は大好きだ。
だが、料理はふつーだった。

その夜、跡取り娘がこっそり墓に行くのを見て
トメ吉は、あとを追った。
娘は、夫の墓を開けると、
中身の骨をバリバリ食っている!

トメ吉は、腰を抜かした。
跡取り娘は、人食い鬼だったのか。

しかしトメ吉は、跡取り娘が去った後
その墓の中身をよく見たら

トウガラシだったのだった。

トメ吉もこのトウガラシ人骨を食べていたら
跡取り娘が、
「その胆力が気に入った」
と、トメ吉を婿にしたという。

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みんなでロープ

大きなロープが横たわっている。
その先に、なにがあるのか。
ひとりの少年が、引っぱってみた。

反応ナシ。

おばあさんがやってきて、少年の後ろについた。

「大きなカブが先についてるかも?!」

それを聞いて、おじいさんもおばあさんの後についた。

「大きなカブが先についてるに違いない!」

それを聞いて、警官もふたりの後についた。

「大きなカブが、手に入る!」

それを聞いて、コックさんが一同のあとについた。
「大きなカブで、料理しよう!」

それを聞いて、グルメレポーターが一同のあとについた。
「大きなカブ料理で、世界一周をレポートしよう!」

それを聞いて、ネズミが一同のあとについた。
「うんとこしょ、どっこいしょ!」

すぱーん!

ロープが引っこ抜かれた。

その先に、なぜか
ティラノサウルスがいて
一同をペロリと平らげた。
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イタズラ鬼と病気の美少女

マジメな鬼ばかりの住む山で、
イタズラばかりしている鬼がいた。
大将のおにぎりにワサビを入れたり
道に落とし穴を掘って鬼仲間を落としたりしていた。

やられっぱなしでいる鬼たちではない。
鬼の法律を作って、イタズラ鬼に言った。
「おまえには手を焼かせる。
人間を鬼にしたなら、許してやろう」

イタズラ鬼は、村へ降りた。
病気の美少女と巡り会った。
鬼の薬はツノから取るが
それを取ったら、命はない。

鬼は迷った。
自分の命と引き換えにするほど
美少女に惚れているわけではなかったからだ。

しかし、彼は決意した。
ツノを切り取るよう、少女の両親に命じる。
イタズラ鬼はツノを失った。

命の灯が消えていく。
そのとき、鬼の大将が現れて言った。
「おまえは成長した。
病人とともに命を助けてやる」

イタズラ鬼は、次期大将に選ばれて
いまは幸せに暮らしている。

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だんだん高くなる燻製

今日の燻製は、外国製の魚だよ。
安くて美味くて栄養価もたっぷり。
お子さまも喜ぶ味付けです。

と店の人が言うが
見ている内に、燻製の値段が
どんどん高くなっていく。

なぜだろう?
と思ったら
円安のせいだった。

わたしはすべての元凶である
ロシアの侵攻を
この手で食い止めることを決意した。

「シュワッチ!」
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その少年は、焼きそばキャプテンと呼ばれていた。
野球部のキャプテンだが、焼きそばが大好きで、
食べる度にひとこと、
グルメなコメントを言わないでは居られない。
店主は今日も、試作品「卵焼きそば」を彼に食べさせる。
「それじゃあ……いただきます」
以前食べた焼きそばとはまた違う新しさがあった。
口に運び……思わずほう、と息を漏らす。
卵の黄身と麺の柔らかさがあいまって、
非常にうまい。

「やっぱおやじの焼きそばは違うな」
少年が感想を漏らすと、
店主は頭を掻きながら言った。

「そのメニュー、じつは他の店から買ったんだ」

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一分草

食べると一分だけ、無敵になるという草を
科学者が発明した。

スパイがそれを嗅ぎつけて、科学者から奪い取った。
「この草だな! よし、食べてやる」
「あ、待て!」

スパイは食べた途端、苦しみだした。
「その草は、3分お湯に浸して戻さないと食べられないんだ……」
科学者は、逮捕されたスパイに気の毒そうに言ったのだった。

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しまうま下剋上

しまうまは、激怒した。
いくら自分が底辺階級の獣だからって、
自分の誇りにしている縞をバカにしていいって法はない。
しまうまは、ライオンたち猛獣を睨み付けた。
自分は食べられるかもしれない、
が、誇りを守って死ねるなら本望だ。

しまうまは、猛獣たちに立ち向かった。
ある時は、ひづめでライオンを蹴倒し
ある時は、その歯でトラに噛みつこうと思った。
が、もちろん草食動物の悲しさ、
ムリがあったのだ。

しまうまは、猛獣に囲まれた。
鋭い牙と血に飢えた目。
しまうまは、死を覚悟した。

と、その時。
しまうまの縞がするするっと抜けていき、
ひと束の黒い縄になった。

縄は猛獣たちを縛り付け、そのまま動物園へと
送ってしまった。

しまうまは、動物界での王者になった。

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No.1試験

「もしもしカメよ カメさんよ」

カメに負けたウサギは同じウサギ仲間から
村八分になってしまった。

そのウサギは、
ある日、鬼を発見した。

すぐそばに、鬼がいるのも知らず、
仲間のウサギたちは、草を食んでいる。
ウサギは叫んだ。

村のウサギたちが、驚いて耳を立てた。
「おまえらを食ってやる!」
鬼は、
ヨダレを垂らし、
凶暴な目をして、
ウサギたちに迫ってくる。

小さなウサギが転んでしまった。
鬼は、荒い息をして迫ってくる。
小さなウサギは、泣きそうになっている。
村八分のウサギは、
ついに見つけた。

くっつき虫と呼ばれる小さなトゲトゲ実。
それを、鬼のリーダーめがけて
投げつけたのだ。

リーダーの目を直撃するくっつき虫。
「痛い、痛い!」
鬼は退散した。

「きみこそNo.1だ!」
長老がそう言った。
村八分のウサギは、名誉挽回し
いまでは幸せに過している。
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甦る免許

 「待て!」
 オレは叫んだ。
 逃げ去る男、追うオレ。しかし男を取り押さえることができなかった。

 手がかりは、死んだ父が知っている。
 死霊使いを志したオレは、ある魔術師に弟子入りした。
 修行は厳しかった。ある時は、冷たい滝に打たれて気絶しそうになった。

長い修行生活の後、オレは免許皆伝の身となった。
オレは、父の死霊を復活させた。

復讐をしぶる父から、ムリヤリ犯人を聞きだした。
犯人は、父の商売が順風満帆なのをうらやんだ商売敵だった。
怒りに燃えたオレは駆けて行き、犯人の心臓に、ナイフを突き立てた。

犯人の知識を使って、
オレはやりたい放題をしたため、魔術師総会に見つかり、
死霊使い免停となった。

すると制御を失った犯人と
父が、激しいケンカになってしまった。
止めようとしたオレは、
自分が死霊となってしまったのだ。
いま、オレは二人の間に挟まれて
グチや悪口を聞かされている。


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失恋ってなんだろう

初めて恋をした。
無精髭、短い金髪、透んだ空のような青い瞳、
たくましい勇者さま。

彼は、あたしを助けに来てくれた。
あたしはこの国で人質にされていたんだ。
彼は、いともたやすく
見はりをノシて
あたしの手を取った。

そのときの手のぬくもりが
あたしのハートを射ぬいた。
だけど、国境近くになって
あたしは急に逃げるのがイヤになった。

逃げている間は、彼といられたのだ。
彼に守られ、彼の先導に従っていればよかった。

国境近くで立ち尽くすあたしを見て、
待ち合わせていた父が、呼び掛ける。
「ウィーナ! 走れ!」
彼も腕を取ってあたしをせかす。

あたしは、歩みを止めて彼を見あげた。
「行きたくない」
「このままつかまりたいのか?
今度は拷問だけじゃ、すまない!」

あたしは、彼の胸に飛び込んだ。
「このまま、ずっと逃げよう」

彼はそっとあたしを押しのけた。
あたしの恋は実らなかった。

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火星のスイカ

火星のスイカは 
水不足の火星にピッタリ。
水を必要とする農業などに、その底力を発揮。
このスイカにチューブをとりつけて、そこから水を汲めばOK。
所有者登録がされているので、
盗むとスイカが爆発する。

「これは、エグい」
ロボット探偵シャロキアン・ホームズは、
現場に飛び散った肉の塊と血液を見て、眉をひそめた。

「スイカを盗んだら爆発するぐらい、
この人だって知ってただろうに」
 きっと、殺害されたのだと思って
 ホルムズは、調査を開始した。

調査を開始すると、
被害者は病死が間近な老人。
彼は、病気で衰えて死ぬよりはと
火星のスイカを盗んだのだった。

遺族はそれを知って泣き崩れた。
肉片は、検査にまわされて
病気治療の資料になり
その病気は根絶されたのだった。

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寿司MD

寿司MDとは 
シブがきトリオの『寿司食いねえ』が入った音楽ディスク。
プレイヤーに載せるとその音楽とともに、寿司が目の前に転送されてくる。
その音楽が大音量なので
近所のエヌ氏は迷惑していた。

ある日、エヌ氏は、寿司MDをかける男の
殺害計画を実行。アリバイも完璧だった。
男は殺害され、事件は迷宮入りかと思われた。

ところが、ロボット探偵シャロキアン・ホルムズが
現れて言った。
「犯人は、エヌ氏です!」
 男を気絶させて棚の近くに移動させ、
 棚から頭に花瓶を落として殺したのだという。

その際、使われたのが、寿司MD。
気絶している男にこれをかけ、共鳴振動で
花瓶を落として、頭に叩きつけたのである。

男は逮捕された。
寿司MDは、犯罪に使われたことで有名になり
転送元は大儲けした。

 

 

 

 

 

最近、ショートショートにハマってます(第6話までUPしました)

2023年1月20日から、ショートショート・ガーデンサイトで

1日3話から4話程度、UPしています。

 

美女トンツー野獣

わたしはAIモールス信号赤。
最近、ウイルスに冒されて、モールス信号が
ミュージカルになるんです。
信号士がワクチンを開発しているんですが
そのあいだに西洋の
AIモールス信号青と恋愛感情を
持つようになりました。
かなわぬ恋を、青とわたしが歌で交流。
信号士は、ワクチンでそれを妨害しようとするんです。
「納得できません」
 わたしは、ツーツーだだを捏ねました。
「つらい恋はしたくないだろう。これもキミへの思いやりだよ」
信号士は、ワクチンを開発。
ワクチンをわたしに接種しました。
ワクチンのせいで、わたしは恋がさめました。
ところが……

最近、わたしは日本のAIモールス信号黄と
恋に落ちました。
「派生型の日本型ウイルスに冒されたんだ」
信号士は、お手上げになりました。

わたしと黄とは、今も日本歌謡で交流しています。

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どうするのよ、こんなにたくさんの毒キノコ!

「どうするのよ、こんなにたくさんの毒キノコ!」
 宇宙食堂『虹』の孫娘、さくらは、

 責めるようなまなざしで
 おじいちゃんを見やる。
 おじいちゃんは、頭を掻いているところだ。

「わかってるの? 惑星連邦衛生管理局の人は、今日くるのよ!
食堂が毒キノコを扱ってるってバレたら
営業停止処分になっちゃうじゃないの!」

そのとき、扉が開いて、その向こうに惑星連邦の人が現れた。
「毒キノコじゃって?」
 しわだらけの泣きっ面、背中に簑。民話に出てくる子泣き爺そっくり。

「おや、おいしそうなキヌガサタケじゃね」
 子泣き爺は、毒キノコを手に取った。
「このカサのレース、わたしたちの大好物なんじゃよ」

 その後、連邦に加盟している妖怪星からお得意さんがやってきた。
こうして宇宙食堂『虹』は、営業停止処分を免れたのだった。

 

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呪われたアプリ

 

 

道具がないならスマホで描けばいいということで、
為也はアプリをダウンロードした。
ところが、そのアプリの使い方がわからない。
動画や書籍を見たのだが、どうしても絵がうまく描けないのである。

為也は友人の翔平に助けを求めた。
すると翔平は、
「そのアプリには、夢がかなわなかった人間の
怨念がこもっている」
と言い出した。

教えたくないならそう言えと、
ケンカになって別れてしまったが
その夜、ベッドの脇に置いたスマホから、
数人の男の声がした。

「そろそろだな」
「自分の才能に自信がなくなる頃だ」
「また仲間が増えるな」

「だれだ! お前たちは、なにものだ!」
 為也が叫ぶと同時に。
 すべてが暗転した。

 為也が目を覚ますと、まわりには
 青白い顔をした亡霊がいた。
「もはや帰る道はないぞ」
 亡霊は、笑った。

 スマホは今も、犠牲者を待っている。

 


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山寺ダイエット事情

その山寺へ行けば、減量も夢じゃない。
体重80㎏、身長158㎞のわたしは、
喜んでそのうっそうとした山奥の、薄寒い寺に行った。
ところが出される食事はミミズばかり。
「有名餃子店の中身とおなじです」
納得できない。

ミミズを拒否すると、今度はコオロギが出た。
「未来食です」
 いらん。

 運動の時間。ツノの生えた赤鬼のコーチが出て来て「根性!」と叫ぶ。気の休まる暇がない。

 しかしカネはもう払ってしまった。モトを取るためには、ひと晩でも過さねば。
 
 夜、風呂のなかでウジウジしていると、扉が開いてすーっと白い影。

お湯が冷たくなった。
「うらめしやー」
「な、なにをする」

「あなたを痩せさせるために、
 祟ってあ・げ・る♡」
 幽霊だった。

 

 それで3日間で20㎏減量に成功したが、こんな痩せ方ってアリ?!

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バナナ推し

さあ、よってらっしゃい見てらっしゃい。遠くにいる人でも通話できるバナナだよ。
これさえあれば、電気も要らないし、災害時には非常食にもなる。
見てくださいよ、この色っぽい曲線美。
なめらかな肌が、そそられるでしょう。
あまーいバナナの匂いをかげば、
身体の奥深くがあつくなるはず。

みなさん、
バナナが黄色なのは、なぜなのかわかりますか?
実はバナナは、とおい昔、先祖のわたしたちの
大好物だったのです。
赤い鳥が赤い実を食べて赤くなったように
黄色人種も黄色いバナナを食べて黄色くなりました。

このバナナは、もちろん食べられますが、
先ほど言ったように通話も出来ます。
バナナの皮アートでお気に入りを登録することも可能。

ただ、定期的に買い換えなければ腐っちゃうけどね!

 


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日本を英語で説明する

ジャパン・イズ・トラディショナル・カウントリー
フォー・エグザンプル
キモノ
ワサビ
カブキ
ラク
エスペシャリー・京都 イズ モースト フェイマス
ジャパニーズ トラディショナルタウン。

と、メールで書いてみて、ふとわたしは眉を寄せた。
わたしは広島人である。いくら日本が伝統的な国だと言っても
わざわざ、京都を紹介するのはどうだろう。
観光に来てくれるなら、広島がいいじゃないか。

広島お好み焼き、牡蠣の土手鍋、もみじまんじゅう、
宮島、尾道しまなみ海道
広島といえども、いろいろある。

日本や広島についてほとんど知らない。
なにを話せばいいだろう?

 わたしは、外国人に言った。
「和の精神がいちばんです」
「和の精神って?」
「みんなおんなじ、仲良くしようってこと」
「キミたちへの同化はまっぴら」
 外国人は、逃げだした。

 

わかめを収穫する

ワカメを収穫したこと、ありますか?
わたしはあります。公民館で、種付けと収穫をしませんかというパンフレットを見つけたのです。受付は漁協組合事務所。

 義母は、「出来上がったら、サークルのみんなに配ろうね」 とウキウキ。
 わたしと義母は、公民館の合唱サークルに所属しています。サークルに出来たワカメを差し入れるつもり。
「お代官さま、つまらないものですが」
越後屋。おぬしもワルよのー」
 みんなはニタニタ笑うことでしょう。

 

画像1

 そんなこんなで、近所の漁協組合事務所で種付けの申し込みをしました。
 漁協の事務所は、中小企業のオフィスという体(てい)でした。水槽すらない。どんだけー。

 さて、種付け当日(二〇二一年十二月十二日)。
 おー、やってるやってる。
 港のイベント用テントの下で、五~六人の漁業協会の人らしき赤ジャンパー姿の男たちが、お客さんに、白紙の名札を配ったり、イベントの説明をしていました。

 テントからぶら下がっているこの白い綱はなんだろう。
 これであぶないプレイをするのか?!
 ロウソクを垂らし。
 ピシっと鞭をしならせ。
「女王さまとお呼び、おーほほほほほ!」
 見れば子連れの親御さんもいる。親子であぶないプレイ?!

 こんなところまで来て、サドマゾごっこ(SMプレイ)するとは、種付けイベントも侮れない。
「お代官さま、もっとヤって☆」
越後屋、おぬしも好きよのお~」
 SかMか。それが問題だ。

 ここまで来たら、サドマゾごっこにも参加せねばなるまい。ワカメとSMの関係がイマイチ判らんが、幸いわたしは服のサイズもM。性格もMだと皆は言う。わたしの受け持ちはどこだろう。さっきから探してるのに、だれもこっちを見向きもしない(´・ω・`)

 

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「なにしてるんですか? 名札をこの束に結わえてください」
 カープ帽をかぶった漁協員。
「サドマゾごっこするんでしょ?」
 わたしが綱を指さすと、
「はあ? この綱に、はつみを巻き付けるんですよ?」
「はつみ?」
「赤ちゃんワカメのことです」
「イケナイことは、しないの?」
「なんですか?」
「だってこの綱は、SMプレイ用じゃないですか」
「これは、はつみ用です!!!」

 漁協員が示すテントの机上に、赤ちゃんワカメ(通称「はつみ」)の標本がある。そーだったのか。これと関係があるとは知らなかった。どれどれ。うーん。ミミズにモヤモヤした毛が生えているみたい。エロい、エロいぞ!(爆)

 収穫当日(二月十一日)は、漁港の入口で、焼きガキを売っているイベント用テント。その向こうには、ワカメの収穫テント。
漂う磯のかおり。そして、焼きガキのはじける音。ああ、腹が鳴る。
 耳と目を塞ぎ、ヨダレをダラダラさせつつ、ワカメ収穫テントへ駆け込みます。

 わかめの束は、ゲゲゲの鬼太郎じみて怖い。

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 女性の漁協員さんが包丁を渡し、
「これでわかめの根っこを切ってください。あとで重量をはかります」
 チマチマ切っていると、見かねた漁協員(おっさん)が、
「初体験なんですね。お手伝いしましょう」
 親切だなあ。
「この包丁、すぱすぱ入りますね」
 とわたしが言うと、おっさんは、
「その包丁は、そんなに切れません」
 がーん。切れない包丁を渡された……(涙)

 刈り取ったわかめは、下の赤いトレイに落とします。
 なんとかやり遂げました。十分程度、かかったかな。
せっかく刈り取ったけど、合唱サークルはコロナでおやすみでした。
 傷むといけないので、近所に配ってしまいました。
「量が多い」
 すみません><