鈴虫発言の余波:二極化社会の対比
ロッキード事件は、戦後最大の汚職事件と呼ばれ、元首相に実刑判決が下った時期の話だ。政治倫理の確立を求める野党に対し、当時の首相である中曽根康弘氏が「リンリ、リンリと、まるでスズムシのように鳴いている」と発言した。この「鈴虫発言」は1984年の新語・流行語大賞で新語部門の銀賞を受賞した。
同じ年、流行語部門の金賞は「マルキン〓、マルビ◆」で、広島市出身のイラストレーター渡辺和博さんが受賞した。彼は、懐が潤っているかどうかで現役世代の着こなしや言動を面白おかしく類型化した。
総選挙では、中曽根首相の公認候補が過半数割れとなる大敗を喫し、政治とカネの問題に対する反省が求められた。
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コメント
「マルキン」と「マルビ」は1980年代の日本で流行した言葉で、当時の経済状況やライフスタイルの違いをユーモラスに表現しました。「マルキン」は「金が丸の中に入っている」という意味で、経済的に裕福な人を指し、「マルビ」は「ビ(貧)の中に丸が入っている」という意味で、経済的に苦しい人を指します。これらの言葉は、社会の経済格差を象徴するものとして広く使われました。
この時代、イラストレーターの渡辺和博さんがこれらの言葉を広め、バブル経済期の成功者と困難に直面する人々の状況を視覚的かつ皮肉に表現しました。当時の日本社会の二極化を端的に表現しており、ライフスタイルや価値観の違いも含んでいました。
経済格差の問題は「勝ち組」「負け組」という言葉の流行にも見られ、経済的な成功や失敗だけでなく、社会における個人の地位や生活の質も反映していました。しかし、こうした分類は社会の分断を助長するという批判も存在します。経済だけが人間の価値であるという風潮は今も続いているのかもしれません。