夢のタコ
夢のタコ焼き屋さんは、今日も盛況のようだった。
「さてと……それじゃあ、そろそろ行こうか」
「うんっ!」
僕は右手を、ミーナちゃんが左手をギュッと握りしめながら、屋台へと向かう。
――その瞬間だった。
突然、僕たちの背後から声がかかったのだ。
それも、あまり聞き覚えのない男性の声である。
振り返ってみると……そこには一人の男性が立っていた。
年齢は40代前半といったところだろうか? 白髪交じりの短髪をした細身の男性は、ニコニコとした笑みを浮かべている。
…………誰だこの人? 全く見覚えがないんだけど……。
そんな僕の疑問を感じ取ったのか、男性のほうから名乗ってくれた。
しかも彼は、なんとも意外な人物の名前を口にしたのである。
「わしはタコ八じゃ。タコの化身なんじゃ」
正気だろうか……? この出会いがきっかけになって、僕とミーナは大冒険をすることになるのである。
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株式会社大学校
株式会社大学校から、その卒業生のひとりが、会社に入って初めてのゴールデンウイークを迎えた日。
彼は、アパートで、その一週間ほどまえに起きた事件について考えていた。
それは、会社の敷地内の池で、男子学生が溺死した事件だった。警察は自殺と判断して捜査を終わったが、彼にはどうしてもそうは思えなかった。
彼は、池に浮いていた学生の服――水草のあいだに挟まっていた布を思い出した。
しかし、彼はその水草の名前を知らない。ただ、それがよく育っていることだけは知っていた。そして、それがあることで池の水が濁り、藻が繁殖して、鯉や金魚にとって、よい環境になっていることも知っていた。
だが、彼の目には、その水草が、まるで自分の意志を持っているかのように見えたのだ。
のちに彼は知る。株式会社大学校が、遺伝子組み換えで食人植物の研究をしていたことを。
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ごはんの好きな所
甘くてモチモチしていて、じんわりと口の中でひろがっていく懐かしさがあり、
飽きない味が素晴らしい。
玄米だったらいくらでも、保存できる。
天皇が植え付けるというところが、
身近に偉い人を感じられていいと思う。
特にごはんの好きな所は、そのごはんを一緒に食べてくれる人が居るところだ。
私はそう思う。
私は今、1人で部屋にいる。
私が入院している病院には色々な人が来るけど、私と年齢が近い人は居ないから寂しいよ……
私の友達は、お父さんとお兄さんだけかな? でもお父さんやお兄さんとはいつも一緒だからいいよね! それに、この前お父さんとお兄さんと一緒に行った公園で会った男の子ともまた会いたいな?
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違法の消しゴム
消しゴムみたいに、世界から犯罪が消える……はずだった。
「……はぁ」
自然とため息が漏れる。
もう、やめてくれよ……。
俺はただ平穏な日常を過ごしたいだけなんだ。
なのに、どうして俺の周りにはこんなにも面倒事が集まってくるんだ? もしかして俺って、呪われてたりしないか……?…………そんなわけないか。
犯罪者につけねらわれるなんて、あり得ない。……うん、いつも通りの日々だ。
よし! さっさと支度して学校に行くとするかな。
おれが学校に行くと、いつも浦賀をいじめていた大島が
きれいさっぱり消えていた。
おれは、浦賀の目に、底知れぬ何かを見た。
浦賀のやつ……おれの消しゴムを取ってったんだな……?
浦賀は、ふっふっふ、と笑っている……
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ボーナス免許のために
ボーナス免許試験を受ければ、
コミュニケーション能力がUPし、
生き方が上手になるという。
なぜボーナス免許と呼ばれているかというと、
自分の生活にボーナスのように
長所が付加されるからだ。
エヌ氏は、ボーナス免許のために
勉強を始めた。
コミュニケーション能力を高めるためには
演劇がいちばん、ということで、
発声練習から始める。
「あめんぼ甘いなあいうえお」
滑舌が良くなっていく。
生き方上手になるために、
会社の同僚とともに
お寺に座禅を組みに行く。
「良い先輩を手本にしなさい」
お坊さんに言われた。
そこでエヌ氏は、マザーテレサのもとに行き
その奉仕活動に参加しようとした。
しかし彼は知らなかった。
マザーテレサは、既に死んでいたのである……
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曲がったクリスマス
「クリスマスは、イエスの誕生日に彼の厩をおとずれた
三人の賢者がプレゼントをしたことからはじまったが、
プレゼントをする、といって
爆弾を送りつけるテロリストもいるからな。
気をつけよう」
そういって、 ぼくたちは別れた。
その次の日の 夕方、 ぼくが、学校から帰ってくると、おねえさんが、 おおきな箱をもっている。
それは、 木でできた、大きな犬小屋だった。
テロという名の犬の、新しい家ができたのだ。
「メリークリスマス! じゃあ、さっそく引っ越しよっか?」
「うん」
ぼくとおねえさんは手をつないで、 まずは、庭へ出ようと、サッシをあけたときのことだった。
そこには、だれかがいた。
背の高いスーツ姿のサラリーマンのような人だった。
「あっ! あなたは!!」
おねえさんが叫んだ。
男は、パピヨンをだいていた。
そして、「テロ攻撃!」と言って、犬を投げつけてきた……
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ハナを宣伝してみる
ハナは美人になれる薬です。
ハナの主成分は、ビタミンCとコラーゲン
それに付随成分として
コウモリの羽根とカラスのまつげ
ノミの涙が入っています。
ハナは、一般の人には売られていません。
いまだけ、ここだけ、あなただけの商品です。
ハナという名前にふさわしく
花のようにきれいになること、
間違いありません。
ハナは、かおりも素晴らしい商品です。
つけていれば、そっぽを向いていただんなさんも
思わず振り返ること、まちがいなし。
一時間ほどお待ちします。
家に帰って、試供品をお試しください。
え、もう試してみたんですか。
ほらね、鏡をご覧ください。
あんなにひどかったカラスの足跡はすっかり消えています。
あなたを見て、うっとりしない男はいませんよ。
え、お代ですか。
お代はあなたの魂だけ。
契約書にサインをどうぞ!
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忍者探偵サスケ
忍者は名探偵にはなれない。
なぜなら、忍者は情報収集をするための職種で、
ナゾを解くための職業ではないからだ。
しかし忍者のサスケは、探偵の仕事を頼まれた。
依頼主は、某藩主の奥方。浮気調査である。
忍者としても、探偵としても、
サイテーの仕事であった。
だが、忍者は仕事に私情をはさんではいけないのだ!
「……あ~あ」
「まぁまぁ、元気出してよ」
「だってさぁ……」
「お殿様も奥方さまも、きっと気づいてないから!」
「そうかな?」
「そうよ、絶対大丈夫だから!!」
「…………うん」
「それにほら、私たちが知ってるってこと、 まだバレてないしねっ☆」
「うぅ……」
「とにかく、今は任務に集中しよう? ねっ!」
忍者は、奥方に陥落してしまっていたのであった。
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呪いの宝くじ
この手の話は枚挙に暇がないが、これはその中でもとびきりだ。
まずは話を聞いてほしい。
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ある日のこと。
僕が帰宅すると、母から手紙を渡された。差出人は知らない名前だったが、切手も貼ってあるし、どうやら正式な郵便らしい。
しかし奇妙なことに消印がなかった。自分で投函したのだろうか。
ともあれ、中身を見てみると、そこに例の、不幸な手紙と共に宝くじが入っていたのである。
これを早く換金しないと、不幸がやってくるそうだ。
まさかと思ったが、宝くじをある人と交換したら、500円しかもらえなかった。
僕はその500円を持って、店へ行った。すると店の人が言った。
「お客さま、困ります。ちゃんとお金を払ってください。ここにあるのは犬の絵の描かれたコインだけですよ?」
「そうですよ、ここの料理はのろいし、ワンコインで食べられるって聞いたから」
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名古屋での女子会
2月11日に名古屋で女子会をした。
10人あつまったが、2次会には
7名程度になったし、
そのまま立ち話になっていた。
しかし、30年ぶりということで、
みんなは話に盛り上がった。
かつての母校がなくなり、
そこにあった百貨店は
別の店になったとか、
ジブリは、『千と千尋の神隠し』ばかり
何度も見てしまって、ストーリーを暗記したとか
そんな話に花を咲かせる。
懐かしい話、初めて聞く話、
一次会では聞けなかったこと。
いろんな話を聞いて
わたしは、心が解きほぐされていくのを感じた。
地元広島から名古屋まで新幹線で3時間半だ。
行きは深夜バスだったので疲れたが
みんなはわたしをねぎらってくれた。
優しい言葉に涙が出た。
二次会に行かなかったら、そんな言葉は
聴けなかったに違いない。
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神さまラジオ
そのラジオからは、神さまの言葉が聴けるという。
ある新興宗教がはじめたこのサービスに、ハマった。
ラジオは言う。
「神さまは優しくていざという時に頼れます。
唯一にして絶対の神がつくられた世界のことです。世界は神の栄光が充満していて、
人間は神の子であり、神と自然と人間とは和しているのです。
いまから波動をおくりますから、受け取ってください。
はあああああああっ!」
ラジオがビリビリ震え……爆発して消えた。
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私の意外な使い方
わたしを使いたいんですって?
わたしの得意分野は、料理ですよ?
ブルーチーズのスフレとか、
エスニックスープとか作るんですよ?
あなたは落語家じゃありませんか。
お口に合うとは思えません。
え?
ネタにしたいから、食べさせてくれって?
じゃあ、作っておいたわたしの料理を冷蔵庫に入れておくね。
冷蔵庫のカップケーキをいつ食べたの? 3つあったのに1つしかないわよ?
3つあったのか、暗くてよく見えず、食べ損ねちゃったですって?
ケーキのいい話ですこと!
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黒い薬
黒い薬を、 とつぜん取り出して 飲みほした。
するとどうだろう! からだじゅうが 熱くなって
もういてもたっても いられなくなってしまったのだ。
そこで その男は ベッドのそばに
ある鏡台で 自分の顔を じっと見てみた。
そして おどろいたのだ。
それは なんとも言えないほど美しい男だった。
そこで この美しい男が 大声をあげて笑いながら
よろこんで 町中をかけまわったのだ。
しかし夜の静寂が訪れると、
男のからだの中でなにかが騒ぎ出した。
それを黙らせる唯一の方法は、この町で
まるでハンターのように生と死の戦いに
加わることだった。
町の人々は、男を恐れた。
そのうち、十字架を持って男に迫りだした。
「悪魔め! おれたちの元から去れ!」
男の身体に杭が打ち込まれた。
その時から、バンパイアが産まれたのだ。
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道に落ちていたおじいちゃんの杖
道に落ちていたおじいちゃんの杖を拾って、それを剣のように構えた。
そしたら、なんだか勇気が湧いてくるような感じがして――――――――
私は勇気を振り絞って、ゴブリンに向かって行ったんだ! その時の私には、もう怖いものなんてなかった。
だって私の後ろにおじいちゃんが援護してくれているんだもの。
それに、私の中には勇者の血が流れてるんだから!
「うわあああ!」
私は雄叫びを上げてゴブリンに斬りかかったんだけど……
あっさりと避けられてしまって……
その勢いのまま、前のめりに転んでしまったんだ。
そして、倒れた私の背中を踏みつけたゴブリンは、
おじいちゃんと私をむしゃむしゃ食ってしまったのだった。
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バイリンガル失恋ソング
『バイリンガル失恋ソング』という、謎のジャンルを確立しつつある俺。
そんなわけで、俺は今日も元気に失恋しているのだった。
俺はいつものよう女の子に声をかける。
―――あの! よかったら今からお茶しませんか? すると彼女は決まってこう言うのだ。
―――いいよー♡
そして俺たちはカフェに行って、楽しくお喋りをする。最初は緊張してあまり話ができなかったけれど、今では彼女の趣味や好きな食べ物など、たくさん知ることができた。彼女と話すたびに、彼女を知るごとに、俺はどんどん彼女にハマっていった。もうすっかり彼女に首ったけである。…….しかしそんなある日のこと、突然彼女が言った。
――私ね、彼氏がいるんだ〜♪
バイリンガル失恋とは、二股を掛けられるってことかよ! もう、ヤダっ!
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ゾンビに教えられたこと
ゾンビに教えられたことを思い出す。
──いいかい、坊や? 世の中で一番怖いのはね……ゾンビじゃあないよ。
その言葉の意味を、今の彼は理解していた。
この世界に蔓延る怪物などより、よほど恐ろしいものが存在するということを。
そして、そんな存在が目の前にいることを。
だが、それでも……
(俺は、まだ死ねない!)
そう心の中で叫ぶと、鬼は走り出した。背後から迫る恐怖を振り払うように。
ゾンビ仲間たちは、鬼をかばってやつらの前にたちふさがる。
やつらは、橋の向こうからやってくる。
攻撃は最大の防御。
鬼とゾンビがあいつらを倒しに橋を駆け抜けていく。
橋の向こうにあったのは。
きらびやかなビル、コンビニ、自動販売機。ゾンビより恐ろしいものとは……
人間だったのである。
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酔っ払いゲーム機
「あー、もう! 何でこんなに面倒くさいんだよ!」
ゲーム機は、アルコールの臭いを漂わせ、身体中が真っ赤になっている。
「おい、お前ら! 俺様を誰だと思ってるんだ!?」
「……えっと、確か、酔いどれゲーム機だったよな?」
「誰が酔っぱらいじゃぁあああっ!! いいか? よく聞け! この偉大なる魔神である――」
「あー、はいはい。分かったから、とっとと帰れ」
「こらぁ! 最後まで話を聞かんか!」
「ったく……。それで、何しに来たんだよ?」
「決まっておろう! 貴様らの願いを叶えるためだ!」
俺は、悪態をついた。
「やれやれ……」
ため息をつくと、もう一度、ゲーム機のスイッチを押した。
するとゲーム機はアワを食って言った。
「3つの願いを言わないと、俺様は解放されないんだ!」
「壺の中の魔神かよ。願いが叶うとロクなことにならねーんだよな。
はい、じゃあ、またねー」
ゲーム機は、廃品回収に回された。
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フシギ大増殖
「フシギ大増殖! この世の終わりだ!」
「あははっ、確かに」
「なにが『確かに』だよ。俺の頭を見ろよ、こんなにもふもふになってんだぞ? このままじゃ俺はもう戻れなくなるかもしれない……」
「それはそれでいいと思うけど?」
「頭のもふもふが、芝になってきた! サクラの木が生えてきそうだ!」
「落語にそんなの、あったよね」
「もふもふから、アメーバや恐竜が生まれて来た! おれって創造主かもしれん!」
「地球がピラミッドになるかもね」
「ぎゃーっ! 頭が核戦争はじめやがった! 芸術は、爆発だ!」
「ご愁傷様」
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結婚式危機一髪
「――ああ、もう! なんでこんなに可愛いのかしら!」
「えっ!?」
突然そんなことを言い出した美菜に俺は驚いた。
いや、まあ確かに美菜の言う通り、俺の容姿は客観的に見たら良い部類に入るだろうけど……ってか美菜も結構な美人だよなぁ……
「……タカシ! 今なんか変なこと考えてなかった?」
「へ? い、いや別に……」
「ふーん……まあいっか。じゃあタカシ、はいこれ」
そう言って美菜が差し出してきたものは――
「こ、これは……美男子になれる薬! おれにこれ以上イケメンになれと?」
「違うわよ。あんたのおとーさんに飲ませてやるのよ。
結婚式にブオトコなお父さんがいっしょじゃあ、
体面が悪いものね」
「おまえは誰と結婚するんだ? 俺だろ!」
「でも友だちも参列するんだよ?」
こんな些細なことから俺たちはケンカになった。
結婚式は明日だ。
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消しゴムアレルギー
「どうしたの? さっきから様子が変だけど?」
「いや……別に」
ミカサの言葉に、僕は何となく照れ臭くなり視線をそらした。
実は僕は、消しゴムアレルギーだ。触っただけでじんましんが出る。
だから、ノートを取るときは、ボールペンでとり、修正ステープラーで修正する。
ミカサは、そんな僕に消しゴムを渡そうとしていたのだ。
仕方がない、我慢して使おうか……そう思ったときだった。
―――シュッ! 突然、僕の前の席に座っていた男子が振り向きざまに、ミカサの手にあった消しゴムを奪い取った。
そして、そのまま口に放り込む。
モグモグ……。……え? ゴクリ。……今、食べたよね?
消しゴムと見えたのは、四角いチューインガムだったのだった。
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コンビニ動物園
「コンビニ動物園って知ってるか?」
「……なにそれ?」
「え? 知らないのか? ほら、こっちこいよ」
そう言って俺の手を引いてベンチから立たせると、そのまま走り出す哲也。
「ちょっ! どこ行くんだよ!」
「いいからついて来いって!」
「おいっ! だから俺は行かないって言ってるだろ!」
そんな俺の言葉も聞かず、どんどん走っていく哲也。仕方なく走る俺。
行ってみると、小さな一廓に店があり、動物の吼え声が聞こえてきた。
それはまさに動物の声をサンプリングして作ったような音で、 なんとも不思議な感覚だった。
そしてその店のレジの前には、ライオンやゾウなどの様々な動物ホログラムがいた。
どれも本物のようにリアルに再現されており、 ビックリ仰天である。
俺はそこでパンダの形をしたクッキーを買って帰った。
そして、いまも、近くの竹林から竹をくすねて、クッキーを飼っている。